NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スプライス」(65点/モンスター)

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■■■「スプライス」■■■
(65点/モンスター)

 人類初の『人工生物の合成』の成功という世紀の発明を行った科学者の夫婦であるクライヴとエルサは、この生物の遺伝子を人間の遺伝子と組み合わせることで『不治の遺伝子病の治療』へと活用するための実験を希望するが、スポンサーである製薬会社の反対により実験の中止を余儀なくされる。

 どうしても実験をあきらめきれない彼らは、スポンサーに秘密で研究室で実験を継続。

 果たして実験は成功し、彼らは誕生した生命体に『ドレン』と名づけるが、生命体は猛烈な勢いで生長し、瞬く間に人間の女性のような姿へと変貌を遂げる。

 研究所でドレンを隠しきれなくなったと判断した彼らは、エルサのかつての住居である農場跡へと彼女を移動させ、農場の納屋で密かに実験を続ける事になるが…



 遺伝子操作によって誕生した新種の生物の恐怖とそれをめぐる陰謀を描いた、モンスターホラー映画。

 「CUBE」のヴィンチェンゾ・ナタリ監督による、遺伝子操作版「スピーシーズ」とでもいうような感じのサスペンスホラー映画。
 といっても、別に「CUBE」っぽい要素は無くて、割とサスペンス要素の強めのモンスター映画という感じの作品です。

 「スピーシーズ」っぽい純粋なモンスターホラーかと思いきや、割と『科学者夫妻の人間ドラマ』に重きを置いたような内容で、単純なパニックものとかとはちょっと色合いが違う感じ…

 序盤はモンスターホラー的な側面が強くて、モンスターの外見も「イレイザーヘッド」の奇形の赤ちゃんのようなデザインで『不気味さ』が際立っている印象。

 予告編とかでもそういった要素が強調されていたので、全体的にそういうノリの映画かと思っていたのですが、モンスターが成長して『人間の女性のような外見』になってからは、ノリが一変してドラマ的な要素が強くなるのは面白いですね。

 生物を創造した学者夫婦が『モンスターの両親』のような位置づけになってお話が展開していくのですが、単純なモンスター映画とは違って、学者夫妻の夫婦の関係とか『母親の幼い頃に育った環境』が怪物の育成に深刻な影響を与えるようになっていくって展開は、他のモンスター映画作品にはあまり無い要素でなかなか良い感じ。

 ただ人間ドラマの要素が強いせいか、モンスター映画としての『怖さ』はあまり感じられなくてモンスターの暴れるシーンも殆ど無いため、そういう要素に期待していた場合は、ちょっと物足りなくて肩透かしを食らわされるかも?
 あと『オチの弱さ』も、モンスター映画としては物足りなさを感じる部分かなぁ…

 どちらかというと『作り出されたモンスターの悲しさ』というか『科学者として道を踏み外してしまった夫婦の悲哀』みたいなものが感じられ、「フランケンシュタインの怪物」ではないですが『物悲しい』感じの展開が多くて、最近のモンスター映画としてはあまり無いタイプの方向性で興味深い作品ではありました。


 総評としましては、全体的に『ちょっと地味な内容』ながらも、お話自体はなかなか良く練られた『佳作レベルのB級モンスター映画』だと思います。

 単純なモンスターパニックものではなく、ちょっと風味の違う『ストーリー重視の古典ホラーを現代的に焼き直したような物語』に興味があれば、観ておいても良いレベルの作品ではないかと…

 逆に、同系列のスピーシーズ」的なビジュアル重視のホラーのノリを期待していると、ちょっと雰囲気が違って肩透かしを食らわされるかもしれませんので要注意ですね。

 とりあえず、モンスター映画が好きであればチェックしておいても損は無い内容だと思いますので、気になる人はチェックしておいても間違いは無い一本と言えるでしょう。