NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ジャーロ」(55点/サスペンス)

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■■■「ジャーロ」■■■
(55点/サスペンス)

 北イタリアの街、トリノ
 タクシーに乗ったまま行方不明になった妹のセリーヌを捜索して貰うために警察を訪れたリンダは、猟奇殺人を専門に捜査しているエンツォ警部に出会う。

 彼から『外国人の美女ばかりを狙う連続誘拐殺人事件』が発生しており、その犯人が改造タクシーで女性を誘拐し、監禁した女性を鋭い刃物で切り刻むという残忍な手口で殺害を繰り返していることを知らされる。

 警部と協力して捜査を行う事となったリンダは、事件の被害者の一人がの死の間際に残した『彼は黄色い』という謎の言葉を元に犯人の正体へと迫って行くが…



 外国人ばかりを狙う猟奇殺人鬼と、殺人鬼を追う警部と犠牲者の姉との対決を描いた、サスペンスホラー映画。

 サスペリア」や「デモンズ」でおなじみの、イタリアンホラーの巨匠であるダリオ・アルジェント監督の新作サスペンスホラーという事で期待していたのですが…

 うーん…なんというか、良くも悪くも『普通のサスペンスホラー映画』ですなぁ。

 別に酷くツマんない訳でもないのですが、アルジェント監督という事で期待していた分を差し引いたらビックリするぐらい普通で拍子抜けする感じの作品です。

 このところのアルジェント監督は、マスター・オブ・ホラーとかの短編では鋭い切れ味のトンガった作品を撮るのに、長編になると『なんだかなぁ…』って感じの作品になってしまうのは何なんだろう…
 歳をとって角が丸くなってしまったのか、あるいは他の理由でもあるんだろうか?

 ストーリーとしましては割と普通のサスペンスホラー映画って感じの作品で、『連続殺人鬼と、その殺人鬼を追う警部と被害者の姉のコンビの対決』って感じの展開のお話です。

 『警部の過去のトラウマ』に、ちょっとだけアルジェント監督っぽさを感じる部分はありますが、それもフェノミナ」や「トラウマ」ほどのエグさやインパクトは無し…

 『美女を痛めつける』という、いかにもアルジェント監督らしいコンセプトもあり割と残酷な描写とかもあるのですが、殺害シーンに過去の作品のような『フェティッシュさ』が見られないため、どうにも物足りなさを感じずには居られません。
 (過去の作品だと、もっとエゲつない殺し方や酷いトラウマやら展開やらを描いてたのに…)

 ただ不満点も多いながらも、ストーリーに関してはそこそこに良く出来て居る感じ…

 中盤までは矢鱈に物語に起伏の無い展開が続くので『これはダメかな?』と思いきや、中盤以降はちょっと『意外な方向』にお話が突入して、先の読めない展開でなかなかにハラハラさせられて面白かったです。

 でも、犯人を突き止める為の『謎解き』とかがやけにアッサリしてるのと、オチやラストの展開に関してはもう一捻りあっても良かったかなぁ…って感じですかね?

 演出や設定的な要素にせよストーリー的な要素にせよ、どちらももうちょっと『ダークで過激なノリ』があっても良かったと思うのですが…
 もしかしたら、発表する媒体やメディアの違いのせいで大人しくならざるを得ない(今回もTV映画っぽい?)のかもしれませんが、それならもっと自由に撮れるところで仕事をして欲しいですよ…


 総評としましては、『サスペンスホラーとしては及第点』の作品だと思いますが、アルジェント監督という部分に期待して観ると、正直いって『ちょっと物足りなさを感じてしまう作品』ですね…

 まあ物足りないとは言いつつも、近年のアルジェント監督の長編作品の中では割と良く出来た作品だとは思いますので、『アルジェント監督のファンであればチェックしておいても良いかな?』ってレベルの一本だとは言えるでしょう。

 純粋にサスペンスホラー映画が好きな人にも、『ちょっとテイストの変わった感じのサスペンス映画』として楽しめる作品だと思いますので、気になっているなら観ておいても損は無いと思いますよ。