■■■「ホスピス」■■■
(55点/スラッシャー)
フォートヘイブン病院に通う実習中の医学生たちは、ある日のパーティの最中に病院から持ち出した非合法のドラッグが原因で、ケニスという知人の青年を昏睡状態に陥らせてしまう。
事故の発覚を恐れた彼らはケニスを路上に放置してそのまま逃走。
ケニスは意識不明の重体となりICUに収容され、1週間後に生命維持装置を止められることとなる。
事故に責任を感じたキャサリンは、彼の目を覚ますために担当医に断り無く実験中の新薬を投与するが、それ以降、パーティに参加したメンバーが『見ず知らずの他人に殺害される』という奇妙な事件が発生。
彼女は精神のみ『体外離脱』したケニスが、他の人間に憑依する事で殺人を犯しているのではないかと疑うようになるが…
悪ふざけでキチガイを昏睡状態に陥らせた医学生たちが、蘇ったキチガイの生霊に復讐されるという、スラッシャーサスペンス映画。
いかにも「ホステル」と紛らわしいタイトルが付いておりパッケージの説明にもソレっぽい事が書かれていますが、実際の内容の方は「ホステル」とは全くジャンルの異なる似ても似つかないようなお話ですね。
っていうか、そもそも「ホスピス」ってもの自体が『死期の近い末期患者が終末期ケアを受けるための施設』の事なので、本作のお話の内容そのものが「ホスピス」とは全く関係がありません。
いくらなんでもコレは『語感だけで適当にタイトルを付けすぎだろう』と…(笑)
お話の中身としては、殺人鬼が『他人に憑依して殺人を犯す』って設定以外は、割とオーソドックスなタイプのスラッシャーホラーって感じの作品ですね。
序盤は大学病院や医学生が登場し専門的な薬物の名前やらが出てくるので、『リアリティを重視した作品』なのかと思いきや、殺人鬼が幽体離脱して他人に取り憑いてみたりと意外とトンデモな設定で、ちょっと笑ってしまいました。
ただ、中盤までの『殺人鬼が憑依して犠牲者たちを殺していく』という展開はありがちな感じなのですが、お話の後半で主人公が憑依されて以降の展開は、ちょっとだけ意外性があってなかなか面白かったです。
あと、ラストの救いの無い展開も個人的には好きなテイストなのですが、そこまで救いの無い話にするのであれば、殺人鬼が『憑依する』という設定を活かしてもう一捻り『後味の悪い話』に出来なかったかな…ってのが少し残念なところ。
殺人鬼の殺害の方法も、色々とバリエーションを持たせようと努力はしているのですが、どのシーンも見せ方がイマイチで『印象に残らない作り』なのが惜しいです。
殺人鬼もあまり個性が感じられずに、むしろ『殺人鬼になる前の方が個性的』という良くわからない設定だったりと、上記の2点と合わせても『いま一つ作りこみが足りない部分』が散見されて、どうにも全体的に物足りなさを感じるお話でした…
総評としましては、オーソドックスだけど少し捻りの利いたスラッシャーホラーって感じの作品ですね。
総じて出来が悪い訳では無いのですが、個性となる要素がどれも『あと一歩』な感じで『あまり印象に残らない作品』というのが正直な感想です。
基本的に『悪くは無い作品』だと思うので予告などを見て気になっているようでしたら特に観るのを止める事はしませんが、だからといって『強く推すほどの作品でもない…』って感じの一本ですかね?
タイトルにだまされて、「ホステル」みたいなゴア描写がウリの監禁スラッシャーホラーを期待している場合は、全くジャンルの違う作品ですので、釣られてしまわないよう注意が必要ですね。