NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「デッドクリフ」(55点/サスペンス)

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■■■「デッドクリフ」■■■
(55点/サスペンス)

 ルイックらの若者たち5人は、休暇を利用してクロアチアにあるアルプスの岩山へとロッククライミングに訪れる。

 しかし崖崩れで登山ルートが塞がれていた事から、登山の上級者であるフレッドの提案に従い正規のルートを外れて崖を上る事となるが、谷間を渡っている途中で老朽化した吊り橋が落下し下山ルートを断たれてしまう。

 彼らは地図の記載を信じて山頂にある別の下山ルートを目指すが、正規ルートを外れた森の中には何者かによって『狩猟用の罠』があちこちに仕掛けられており、仲間が負傷した彼らは孤立無援の山中でパニックに陥っていくのだった…



 アルプスの山中で遭難し孤立無援になった若者たちが『正体不明の殺人鬼』に襲われるという、フランス製のサスペンスホラー映画。

 お話の内容的にはあまり似ていないのですが、なんとなく「ディセント」にインスパイアされて作られた作品って感じのホラー映画ですね。

 前半パートは『ロッククライミングを題材としたサスペンス』といった感じの内容で、厳しい岩山での事故やら心理劇やらを中心にお話が展開するのに対して、後半に入ってからはガラっと趣旨が変わってスラッシャーホラーっぽい展開にお話が突入するといった作りなのですが…

 前半は『スリル満点のの岩山登山』といった感じの光景が描かれているのに対して、後半は打って変わって唐突に『スラッシャーホラー』に突入してしまう辺りとか、主人公たちが色恋沙汰絡みで確執を持ってたりする辺りとか、随所に構成的に「ディセント」を意識している部分が伺われます。

 ただ残念な事にどの要素も「ディセント」には及んでない感じで、どうしても2番煎じ的な印象を受けてしまうのは辛いところ。

 それでも前半の登山シーンは『美しいアルプスの岩山の光景』に加えて、10cmぐらいしか無いような足場をワイヤーを伝いながら登ったり、『地上200mぐらいの場所に30cm程度の幅の板をワイヤーで繋いだただけのつり橋』を渡ったりと、『それ、何の事故も無くてもメチャクチャ怖いだろ!!』って感じの展開で緊張感を持たせる辺りはなかなか面白いです。

 しかし後半の殺人鬼の登場してからの展開がイマイチで、殺人鬼にコレといった特徴が無くて残虐シーンもそれほどシッカリと描写される訳では無いので、どうにも盛り上がりに欠ける内容で緊張感が感じられない。
 また『主人公』と『ヒロインの元カレ』の確執も、逆に『先の展開の読める要素』になってしまっており、そこまで効果的に働いていないのは残念なところ。

 ただ、件の『特徴の無い殺人鬼』が、逆に『単なるトッポイ感じのお兄ちゃん』なお陰で、バトルのシーンで主人公たちが本気で反撃して『エゲつないまでのガチの殴り合い』が繰り広げられるのは、別の意味で新鮮でちょっと面白かったかも?(殆どの犠牲者よりも殺人鬼の方が弱そうなので、逆に殺人鬼を応援したくなりました。(笑))

 でも、このお兄ちゃんが『屈強な山男たち』を次々に葬ってきたとは思えないので、ちょっと設定的に無理があるような気がしたのは自分だけですかね?


 総評としましては、細かい不満はあるもののとりあえず『及第点レベルのサスペンスホラー映画』って感じの作品ですね。

 あまりにも「ディセント」を意識した作りのせいで本家と比べてしまうとイマイチ感は拭えませんが、単体で観るならばそれなりに楽しめる内容ではあると思います。

 「クリフハンガー」みたいな『登山サスペンス』と『スラッシャーホラー』という独特の組み合わせに興味があるならば、とりあえず観ておいても良いレベルの一本では無いでしょうか?