■■■「HUNGER ハンガー」■■■
(40点/サスペンス)
ある日、いきなり何者かに拉致されたお互いに見も知らぬ5人の男女が、井戸の底のような場所にある地下室で目を覚ます。
地下室にはドラム缶に入れられた『大量の水』と『一本のメス』、そして『人間は何も食べないと30日で死ぬ』というメッセージのカードのみが残されており、彼らは自分たちがこの場所へと閉じ込められている事を知らされる。
彼らはこのメスが『互いに殺しあって相手の肉を食べろ』という誘拐犯からのメッセージだと気づきつつも、何とかしてこの場所から脱出する方法を見つけ出そうとするが、脱出する手段の無い地下室で彼らの飢えは極限へと達し…
誘拐犯によって『食料の無い地下室』に閉じ込められた5人の男女が辿る運命を描いた、シチュエーションスリラー映画。
何と言いますか、ぶっちゃけて言ってしまうと『微妙にカッたるい映画』ですな。
シチュエーション的にはなかなか面白い内容で、主人公たちが故意・過失を問わず『人を殺した事が在る人物』という設定やら、シチュエーションスリラーを描く上で『面白くなりそうな設定』は結構仕込まれているのですが、どうにもそれを上手く活かしきれていない感じ…
基本的には『食料が与えられない』という状況に置かれた主人公たちの心理劇を描いているお話なのですが、人間は食べ物が無くてもそうそうスグに危機的状況に陥るものでは無いので、とにかく話がなかなか前に進まない。
かといって、スリラーとして他の要素がふんだんに含まれている訳でもなく、主人公たちの心理劇もそれほど深く描かれている訳でもないので、序盤~中盤までが非常に退屈な内容なのが辛いです。
時間経過の描き方も、画面に『○○日目』みたいなテロップが表示されて説明されるだけでいま一つ実感がわかないですし、そもそも本編中で20日も食べ物を食べずに過ごしてたら『もっとガリガリにやせ細るだろう…』って感じなのですが、その割には終盤でも主人公たちの肌のツヤとかが良くて、あまりにもリアリティが感じられないんですよね…
ラストの『オチ落とし方』とかはなかなか上手くて面白かったと思うのですが、誘拐犯も矢鱈と本編に顔を出す割にはあまり魅力が感じられなくて、加えて心理描写とかもイマイチですし、結果的に誘拐犯にも主人公にもいま一つ感情移入が出来なくて、どうにもダルい要素が多すぎます。
設定自体は割と面白そうな部分が多いのに設定の魅力に演出が全く追いついていない感じで、なんとも勿体無い感じの作品でしたよ…
総評としましては、シチュエーションとかは悪くない感じなのですが、全体的に『もうちょっとどうにかならんかったのか?』って部分があまりにも多い作品です。
シチュエーションスリラーとしては、もっと全体的に緊迫感があればそこそこ面白い作品になったと思うのですが、どうにも盛り上がりに欠けてちょっと残念な出来の映画でしたよ…
まあ致命的にツマんない訳でも無いですし、この『シチュエーションそのもの』に魅力を感じるならば、どんな感じの話なのかを確かめるためにも観ておいても良いかも?ってレベルの一本では無いでしょうか。