NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・リッパー」(65点/スラッシャー:オススメ)

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■■■「ザ・リッパー」■■■
(65点/スラッシャー:オススメ)

 アメリカの郊外の田舎街で、統合失調症を患った一人の男が連続殺人を犯し、殺人鬼『リッパー』として恐怖を振りまいていた。

 『リッパー』は警察との死闘の末に河に落ちて死亡するが、街では死者の弔いと事件を忘れない為に、その日を『リッパー・デー』として記念日としていた。

 それから16年後のリッパーの命日に、リッパーが死んだ日に生まれた7人の若者たちが集まって、リッパーの亡霊と戦うという度胸試しをしていたが、その日の夜に何者かによって仲間の一人が惨殺されるという事件が発生する。

 リッパーの死体が未だに発見されていない事から、彼らは『殺人鬼が実はまだ生きており復讐に訪れたのではないか』と疑いを抱くが…



 過去に連続殺人の起こった街で『殺人鬼が死んだ日に生まれた若者たち』が何者かに命を狙われるという、スラッシャーホラー映画。

 エルム街の悪夢」や「スクリーム」で有名なウェス・クレイヴン監督の久々の新作という事で期待して鑑賞したのですが、コレが期待に違わぬ高いクオリティの良作でした。

 お話としては、『過去に殺された殺人鬼』とか『学園を舞台としたサスペンス』とか、まるでエルム街の悪夢」と「スクリーム」を足して2で割った(ついでに「ショッカー」を付け加えた)ような作品なのですが…

 アイデアの引き出しや方向性は一緒でも、お話のアレンジの仕方やストーリーの組み立て方が非常に上手くて、純粋に面白い作品に仕上がっています。

 雰囲気的には「スクリーム」に近いタイプの作品で、かなりサスペンス的な要素が強めの印象。

 『殺人鬼の死んだ日に生まれた7人の子供』がお話の中心となってストーリーが展開していくのですが、この7人の間でも派閥的なものがあったりと人間関係やらストーリーやらが結構複雑で、それだけで青春ドラマとして成り立つぐらいの完成度。

 しかし複雑なストーリーながらも、キャラクターが非常に良く立っていることや、お話の組み立てが非常に丁寧なことから、難解になりすぎずに且つスピーディな展開を維持したままサスペンスを楽しめる構成になっているのは見事です。

 主人公や殺人鬼にまつわる過去の出来事に意外な秘密があったりと、お話も『謎が謎を呼ぶ』といった感じで、最後の最後まで『誰が殺人鬼なのか?』が予想できない展開なのも流石ですねぇ。

 この手のサスペンスとしては久々に、ホントにラストまでワクワクしながら楽しむ事が出来ましたよ。

 ただラストの展開がちょっと唐突で強引な感じを受けたのと、最後がややアッサリしすぎなのは物足りなかった部分かな…

 あと『恋愛的な要素』がありそうに見えてサッパリ無かったのも、なんか拍子抜けした部分と言えるかも?

 ちなみに同監督の作品としては「スクリーム」寄りの作品なので、殺害シーンや残虐描写はかなり軽めの印象。
 絵作りもが全体的にチープな感じを受けたのですが、もともとビデオ作品か何かなんですかね?

 まあ、逆に『ホラーが苦手な人でも見やすい作品』になっているとも言えるので、結果として悪くは無い構成だとは思いますが…


 総評としましては、サスペンス系の『青春スラッシャーホラー』としては久々の快作と呼べるレベルに良く出来た作品です。

 流石にウェス・クレイヴン監督の全盛期ほどのキレは無いものの、丁寧に作りこまれたストーリー構成やら青春ドラマやらの要素は過去作品よりも良くなっている部分とも言えるので、この監督のファンであれば間違いなく観ておいて損はない作品でしょう。

 そうでなくとも、普通に『学園サスペンスもの』としてもかなり完成度の高さだと思いますので、その手の作品が好きであれば観て損のない一本だと思いますよ。