NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ホスピタル・オブ・ザ・デッド ~閉ざされた病院~」(25点/モンスター)

イメージ 1

■■■「ホスピタル・オブ・ザ・デッド ~閉ざされた病院~」■■■
(25点/モンスター)

 幼い頃に乳母の一族によって家族を殺害された過去を持つ医師のルーカスは、その頃の心の傷によるトラウマから未だに立ち直りきれないで居た。

 そんなある日、『故郷で家族を殺害した犯人のうち一人が逮捕された』という事を伝えられた彼は、過去と向き合うために犯人が収容されているという病院を訪れるが、その場所で彼の家族を殺した犯人の正体が恐るべき『アスワング(吸血鬼)』だという驚くべき事実を知らされるのだった…



 フィリピンに伝わる『アスワング』という吸血鬼を題材とした、モンスターホラー映画。

 最近はアジアの新興国系のホラーは増えつつありますが、フィリピン製というのは珍しいので、興味があって鑑賞してみました。

 タイトルには「~~オブ・ザ・デッド」とか付いていますが、内容的にはゾンビ映画とは全く関連がなく、お話し的には『仲間を取り返しに来た吸血鬼と人間との攻防』みたいな設定のモンスターホラー映画ですな。

 ちなみに『アスワング』ってのは実際にフィリピンの土着の伝説に存在する吸血鬼で、サルのような体にコウモリの翼を生やしたような怪物だそうですが、本編ではグール(食屍鬼)みたいな感じで描かれており特に面白いデザインでもありません。
 『昼間は美女の姿で夜になると吸血鬼に変身する』といった感じの伝承もあるようで、ヒロインが吸血鬼の女性なのはその辺の設定から来ているのかも?

 で、肝心の映画の中身に関してですが、正直言って『微妙』の一言。
 色々な点で微妙なのですが、とにかくダラダラとした冗長な展開が長すぎます。

 一応、キャラクターとしては、『かつての乳母が吸血鬼だと知らされて戸惑う主人公』と『家族を殺されて復讐に取りつかれた警察署長』と『これ以上は人間を殺したくないと願う吸血鬼のヒロイン』の3人を中心に物語が進んでいくのですが…

 『吸血鬼のヒロインを救おうとする主人公』と『攻撃的な警察署長』が好対照に描かれている訳でもなく、ヒロインに関しても『悲劇のヒロイン』として感情移入出来るほどには深く踏み込んで描かれて居らず、ぶっちゃけキャラの設定が全く活かしきれていません。

 主人公がヒロインを救おうとする心情の流れも理由が不明瞭ですし、3人の関係をメインに据えるならもうちょっとマトモに登場人物の心理描写を描いて欲しい…

 目玉であるべき『アスワング』に関しても、特撮も何も利用していない『単なる小汚いオッサン』ですし、襲撃シーンに関しても基本的に『家の外でウダウダしてるだけ』で殆ど襲撃してこないで作品内の時間だけが過ぎていくという我慢大会でもさせられてるようなノリ。
 しかも、ごく少ない襲撃シーンも『SFXも利用せずに、ちょっと血糊が出る程度』では盛り上がりようがありません。

 あと、『不死身の吸血鬼を殺す方法』を知るために警察がヒロインを監禁していたという設定なのですが、結局退治する方法が『首を斬り落として殺すだけ』って、その方法で退治するんだったらヒロインを監禁してた意味は全く無いよね?って言う…

 ラストの展開も『分かったような分かんないようなオチ』ですし、ストーリーがイマイチな上に特撮もイマイチで、ツッコミどころは満載となれば、いったい何処を楽しめば良いのか…って『ツッコミどころを楽しめ』って事ですね分かります!!

 まあ、ストーリーの矛盾やキャラクター描写の表現力不足はさておくとしても、もうちょっとテンポが良くサクサクとお話が進んでくれれば、まだ楽しめたと思うんですがねぇ。
 やっぱ、中盤の展開がダル過ぎるのが最大の難点かと…


 総評としましては、流石にコレは『ホラー映画自体が希少な国の作品だという事を差し引いても擁護しきれない程度に微妙なレベル』の作品ですね。

 ツッコミ用のネタ映画として観るとしても『テンポが悪すぎてダレてしまうような内容』ですし、インドやタイの映画のように新興国独自のテイストがある訳でも無いのが辛い。

 まあ『フィリピン製のホラー映画』という希少なサンプルとして、好事家が観てみる分には止めませんが、そういう『ネタとして楽しむ』のでなければあまりオススメできるレベルでは無い一本でしたよ。