■■■「ペイン~PAIN~」■■■
(55点/スラッシャー)
コロラドの郊外にある小さな街で、葬儀場の管理人の男が監禁した高校生の全身を切り刻んで殺傷するという事件が発生。
事件の唯一の生き残りであるジョーンは、心の傷を癒すためにその後の十数年のあいだ街を離れていたが、妻を失った兄のバロウを励ますために再び街へと戻る事を決意する。
しかし彼女の街へと戻った感謝祭の夜から、地元の高校生たちが過去と同様の手口で殺害されるという連続殺人事件が発生し、警察は彼女が事件に関与しているのではないかと疑いを抱くが…
過去に葬儀屋によって連続殺人が行われた街で十数年後に再び連続殺人が発生するという、スラッシャーホラー映画。
パッケージとかを見る限り、いかにもエグい拷問シーンを描いた「ホステル」のようなゴア系スラッシャー映画っぽい印象を受けるのですが、実際にはサスペンス寄りのイメージの強い作品かな?
過去に連続殺人のあった町で十数年後に再び殺人が発生するという設定が、なんとなく先日観た「ザ・リッパー」を思い出させますが、ありていに言ってしまえば『スラッシャー映画ではありがちな設定』なのかも…
本作の特徴としては、殺人鬼が『2人の交友関係を持つ被害者』を監禁し交互に拷問して、苦痛に耐えかねて自分とは逆の犠牲者を『殺せ』と殺人鬼に指示すると自分は拷問から解放されるという、なかなかサディスティックな手口を使うという点なのですが…
惜しむらくは、この要素がそこまで有効に使われていない事でしょうか?
拷問シーンは色々な死体処理用の器具を使って行われるのですが、見た目のエフェクトにいま一つ派手さが無くて『痛さ』がイマイチ伝わりづらい。
そのせいで、お互いが相手を『殺せ』と指示するほど追い詰められているのが感じづらくて、上記の設定が活かしきれて居ないのですよね。
同様のコンセプトでもうちょっと派手な拷問シーンが描けてれば、もっと迫力と味のある作品になったと思うので、少し残念なところです。
ストーリーに関しては、過去のシーンと現在のシーンが交互に進むという形式を取っており、表現的には面白いですし要所要所に殺害シーンとかが差し込まれるお陰で退屈し難いつくりになってはいるのですが、この構成のお陰で少しだけストーリーが難解になっており、また現在で『リアルタイムに被害にあう高校生たち』のキャラクターが描ききれていないのも難点かな?
サスペンス的な要素を含んでいる割には、事件の犯人も割と簡単に予想が付いてしまうので、この辺はもう一捻り欲しかったかも…
あと、ラストの展開は『ヒロインのお姉ちゃん根性ありすぎだろ!!』とツッコミしたくなったのは自分だけ?
いや『拘束から逃れるため』だけに、あそこまで思い切った行動は普通は取れんと思うんですが…
(というか、現実にやったら激痛で失神すると思う…)
総評としましては、『殺人鬼に個性を持たせようとする要素』や『サスペンス的なお話の組み立て』も割と良く考えられては居ると思うのですが、どちらも『いま一歩踏み込みが足りない』というか『あと少しところで盛り上がりに欠ける内容』なんですよね。
アイデアや設定としては悪くないと思うのですが、どうにもその設定を活かしきれて居ないのが残念なところ。
あと、パッケージがいかにも『監禁系スラッシャーホラー』を煽る(あおる)ようなイメージだったので迫力不足に拍子抜けしてしまった感はありますが、スラッシャーホラーとしては及第点な内容だと思いますので、その手のジャンルが好きな人であればとりあえず観ておいても損は無い一本かもしれません。
「ホステル」とかみたいな過激な作品を期待しているとちょっと肩透かしを食らわされるので、その辺は要注意ですね。