(60点/アクション)
カナダのトロントの町に住む売れないバンドマンであるスコットは、パーティ会場で出会ったラモーナという不思議な女性に一目惚れし彼女に交際を申し込もうとする。
しかし彼女をデートに誘おうとした矢先に、突然『7人の邪悪な元カレ軍団』と名乗る集団からメールが送られてきて、問答無用に彼らと戦わされる事となってしまう。
戦いに巻き込まれた彼は、ラモーナに『自分と付き合うためには、その『7人の邪悪な元カレ』を倒さなければならない』と説明されるが…
売れないバンドマンのスコット・ピルグリムが、一目惚れした女の子と付き合うために『邪悪な元カレ軍団』と
対決するという、アクションコメディ映画。
もともと、アメコミだかの作品でゲーム好きな人であればダウンロード専用タイトルとしてゲーム版も発売されてるので知ってるかもしれませんが、原作やゲーム版も含めて日本のゲームとかアニメとかに影響を受けて、そういったオマージュがふんだんに取り込まれている事が特徴の作品ですね。
映画版の方でもそういったノリは健在で、画面効果や演出や効果音やらにファミコンやら古きよき時代のアーケードゲームっぽい演出やらが取り込まれている事が特徴になっています。
この演出や画面効果がなかなか面白くて、『ゲームを意識した派手なアクション』と『ゲームっぽい画面効果』が最大の見所というか、『それを楽しむためだけの映画』と言っても過言では無いかと…
ストーリーとかの方は、ぶっちゃけ理不尽すぎて『わけがわからないよ…』としか言いようが無いような内容で、そもそも何ゆえに超パワーを持った『7人の邪悪な元カレ』が居てそいつらと戦わなければならないのか…とか、そもそも元カレの人数多すぎだろ…とか、主人公も何でそんなややこしい女と付き合おうとするんだよ…とか、基本設定からしてツッコミどころが多すぎ。
まあ、ゲーム的な展開を意識して『7人のボスキャラ』という感じでキャラが設定されたんだと思いますが、2時間弱の映画の中でそれをやられても、正直言って展開が急すぎてお話に付いて行けませんでしたよ。
とりあえず『細かい事を気にしたら負け』って感じの映画なのでは無いかと…
あと気になった点としては、アクションシーンはアクションも画面効果も派手で面白いんですが、日常シーンでの画面効果があまり効果的に使われず、ちょっと浮いている感じがあった事かなぁ?
全体的に画面効果が地味な色で作られてるのが原因だと思うので、逆に日常シーンでももっと派手でウルサイぐらいのエフェクトを多用しても良かった気がします。
7人のボスも2時間の枠で描くには人数が多すぎるのか、全体的に扱いがちょっとアッサリしすぎなのは勿体無い。
原作準拠の設定なのでどうしようもないのかもしれませんが、もうちょっとシッカリと各ボスを描いて欲しかったかな?
あと、登場人物が矢鱈と多くて人間関係がちょっと分かり難いのも難点かなぁ?
コレも原作準拠(原作コミックは既に数冊出てるらしいので)の弊害かもしれませんが、もうちょっとシェイプしても良かったかも?
そして、それよりも何よりも本作で最も気になった部分は、個人的に『ヒロインが全く可愛く感じられない』部分ですね。
その若さで7人も元カレが居るって設定も『どんだけビッチなんだよ』って感じですし、主人公がヒロインを好きになる理由も根拠も全く不明(唐突な一目惚れ)なので、最後まで感情移入できませんでしたよ。
(主人公が最初に付き合ってた高校生の女の子の方が、まだ感情移入できた…)
とまあツッコミどころは多いですが、所詮はコメディですしアーケードゲーム的な『その刹那を楽しむ感覚の作品』と捕らえれば、そういった細かいツッコミも無視できるレベルではありますので、それなりに楽しい映画ではありましたけどね。
総評としましては、細かい事は気にせずにとにかく『ゲーム的な雰囲気や演出を楽しむための映画』って感じの作品ですね。
派手なアクションとか画面効果とか独特のノリとか観るべきところは多い作品ですので、ちょっと毛色の違った『ゲーム風味のアクション映画』ってのを観てみたいというのであれば、それなりに観ておく価値はある作品だと言えるでしょう。
ストーリーとががシッカリしてないと嫌だという人は、あまりの訳の分からない展開に途中でダレてしまうかもしれませんので、そういうのは気にせず『ノリだけで楽しめる作品』が好きであれば、そこそこオススメですよ。