NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「ザ・ウォード/監禁病棟」を観てまいりました

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1966年のアメリカ。
情緒不安定な少女・クリステンは森の中を下着姿でさまよっていつつ、とある農家に放火しているところを発見されて保護される。

警察に保護されたクリステンは要注意人物として精神病院の『監禁病棟(ウォード)』に隔離される事となるが、そこでの治療を受け始めた彼女は自分が『農家に放火する以前の一切の記憶』を失っている事に気づく。

彼女は自分の過去に隠された秘密を解き明かそうと行動を開始するが、同じ『監禁病棟』に隔離されている4人の少女と知り合って行くうちに
この病院に何か『異常な物』を感じはじめる。

そして、やがて同じ病棟の少女たちが一人また一人と姿を消して行き…

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 劇場にて、ジョン・カーペンター監督のザ・ウォード/監禁病棟を観てまいりました。

 本作はカーペンター監督の「ゴースト・オブ・マーズ」以来の約10年ぶりの新作と言う事で、コレは『カーペンター者としては観に行かない訳にはいかないでしょう!!』と言う訳で、初日から早速に観に行ってまいりましたよ。

 いやはや、カーペンター監督もうそろそろ引退してもおかしくないような歳なのに、生涯現役のノリで頑張ってくれるのは嬉しい限り!!


 それはともかく肝心の映画の感想の方ですが…

 とにかく色んな意味で『意外な映画』というのが正直な感想ですね。
 ストーリーや構成もさることながら、『えっ、コレがカーペンター監督の新作?』と言う意味でも意表を突かれた作品でしたよ。


 前作の「ゴースト・~」は非常にカーペンター監督らしく、グロくてブルータルでハイテンションという『ホラー』と『ロック』の魂を体現したような映画だったのですが…
 本作は今までの氏の作品と全く異なる印象の、非常にミステリー的なテイストの強い『サスペンスホラー』と言った印象で、かなり今までの作品とは異なるイメージ。

 更には今までの作風とはガラリと変わった部分として、『ひとりの記憶喪失の少女』が主人公で『5人の少女を中心にストーリーが展開していく』と言う、なんともカーペンター監督らしからぬ展開で『数年ぶりの新作でいきなりどんだけ変化球を投げてくるのか?』とビックリさせられましたよ…

 しかしお話の中身に関しては、確かに氏の作品としては変化球ながらも普通にサスペンス映画としても良くできている印象。

 最初に『主人公が記憶を失っている』という設定から始まって、お話が進むに従って『少しずつ話が見えて来る』という構成は、この手のサスペンスのテンプレートに沿った作りながらも『物語を推理していく楽しみ』があってなかなか良い感じ。

 お話としては大きくは『2つの謎』が同時進行で描かれるのですが、ラストでそれらの謎がキレイに収束して『あぁ、なるほど!』といった感じにスッキリと一つにまとまって行くのは、素直に感心させられましたよ。
 (正直にいうと、途中までは『ラストでグテグテになるんじゃないか?』と思っていた。(笑))

 カーペンター監督ってどちらかというと『お話を勢いで押し切っちゃう』タイプだと思ってたので、『こんなに伏線をしっかりと張り巡らせた作品も撮れるのか…』と少し驚かされましたよ。


 しかし、作品自体は結構面白かったし意表を突かれもしたのですが、氏のファンとしては若干不満の残る内容だったのも事実。

 最大の不満は、やはりいつもの『カーペンター節』がイマイチ炸裂しきっていない事。
 サスペンスと言う構成上の都合として仕方ないと言えば仕方ないんですしょうが、いつもの『テンポの良いB級ホラー作品』ほどのイキオイが感じれない…

 また、氏の作品では女性が主人公でも今までは『妙に男臭い展開』が多かったので、ティーンの少女の視点で描いている本作はちょっと肩すかしを食らった印象。
 (いや、今回の作品が悪いという訳ではなく、単純に好みの問題として…ですが)

 後は気になった点は、サスペンスとしてストーリーを描く事に注力した結果か序盤~中盤の展開がやや冗長で、ちょっと退屈さを感じてしまう事かなぁ?
 終盤は非常にテンポも良くて面白いので、序盤にももう少し見せ場が欲しかったってのも正直なところですよ。


 とまれ総評としましては、若干の不満点や個人的に物足りなかった部分もありますが、サスペンスホラーとしては普通に面白かったですし、カーペンター監督のいつもと違ったベクトルの才能を見せられた感じでファンとしてもなかなか楽しめた作品でした。

 カーペンター監督のファンであれば十分に見ておく価値はある作品だと思いますし、そうでなくとも普通にサスペンスホラーが好きな人であれば十分に楽しめるレベルの作品だと思いますので、その手の作品が好きな人なら観ておいて損は無い一本でしょう。

 ちなみに、先にネタバレを知ってしまうと面白さが半減するタイプの作品なので、観に行く場合はネタバレを絶対に観ないように注意しましょう。


 あと割とどうでも良い事ですが、カーペンター監督と言えば最近AKB48」にハマっているというウワサが流れていますが、今回の『5人の少女を中心に話が展開する』ってのはもしかしてその辺の影響や心境の変化があるんですかね?
 って、映画の撮影はAKB48とか知る前に行ってたと思うので、あまり関係ないですか…(笑)

 でも、このノリで『AKB48を使った映画とかPV』でも撮ってくれれば、色んな意味で物凄い話題になると思うんだけどなぁ…