■■■「F エフ」■■■
(40点/スラッシャー)
北ロンドンのとある高校に勤める厳格な教師のロバートは、授業であまりに酷いレポートを提出した学生に「F(落第点)」を与えたところ、その生徒から暴力を振るわれ大けがを負ってしまう。
しかし、暴力事件を隠ぺいしようとした学校は、彼に約1年間の自主休職を取らせるという対処を取り、1年後に職場に復帰した彼は、事件の影響から職場でも白い目で見られ酒浸りになり家族とも上手くいかないという生活を送ることとなる。
そんなある日、放課後の夜の校舎にフードパーカーを着た謎の集団が侵入。後者に残っている人間を次々と殺害し始めるという事件が発生。
異変に気付いたロバートは、校舎内に残っていた高校の生徒でもあり娘であるケイトを救うために、娘の姿を探して夜の校舎を奔走する事となるが…
夜の学校の校舎に正体不明の殺人鬼集団が侵入し生徒や教職員を殺害して回るという、スラッシャーホラー映画。
ストーリーらしいストーリーは殆ど無い作品なのですが、なんと言うか何ともいえない不気味な雰囲気の漂う映画ですね。
『正体不明の若者の集団が何の理由も無く人々を殺害してまわる』というホントにそれだけの作品なのですが、殺人鬼の顔とか個性とかが一切見えずに『集団で淡々と人を殺してまわる』姿はなかなか異様で怖いです。
スラッシャーホラーとしては、ちょっと珍しいタイプの殺人鬼の個性付けかも?
ただ本作の内容は、ぶっちゃけて言うとホントに『それだけの映画』なんですよね。
冒頭にも書きましたがストーリーらしいストーリーは一切無くて、序盤で張られた『伏線っぽいシーン』も何か回収されるのかと思いきや、そういうものの回収は全くなし。
ラストシーンもビックリするほどの投げっぱなし具合で、謎解き的なものやオチらしいオチとかも一切ありません。
それでも作品そのものがパワフルな内容ならば楽しめるとは思うのですが、一部でエグいシーンもあるものの、むしろ『淡々と殺人が繰り返される』事による無機質な怖さの方が重視されている印象なので、全体的にどうにも冗長。
キャラクターの個性付けもそこまでシッカリとしている訳でもないので、最初から最後まで『客観的に殺害現場を見学している』みたいな感じで、緊張感が乏しくて盛り上がりに欠けるのは難点かなぁ?
もっと主人公の男性教師に感情移入できるような要素でもあれば、もうちょっと印象が違ったのかもしれませんが…
ちなみに、本作における『パーカーを着た若者の殺人鬼』は、ロンドンの暴動でも話題になった『YOB(ロンドンのチンピラや不良の集団、フード付きパーカーとかを好んで着る)』をモデルにしており『無軌道な若者の暴力』を題材としているんじゃないかと思うのですが、その辺の背景を知らない日本人にはネタ的に分かりづらいよねぇ?
逆に、日本人から見たら同じようなパーカーを着た集団は『良くわからない宗教集団』っぽくて、ちょっと怖いけど…
そういう意味でも、ちょっと日本人向けには『伝わりづらい作品』だとは思いました。
総評としましては、殺人鬼集団の『不気味な雰囲気』やらの見るべき部分もあるのですが、ホントにそれだけで全てが終わってしまう『雰囲気だけの作品』です。
まあ、あまり深いことを考えずに『サクっと流し見する程度』ならちょうど良いレベルの作品かもしれませんが、逆にシッカリとしたストーリーやオチが無いとダメって人は全く持って楽しめない作品ではないかと…
でも『中身が無い』だけで『ツマんない』という訳ではありませんので、TVとかで放映された時にでも適当に見るか、レンタルが安くなった時にでも借りてきてサクっと見るぐらいならそこそこ向いているレベルの作品だとは思いますので、何かの息抜き程度にどうぞって感じですかね。