NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ロスト・アイズ」(65点/サスペンス)

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■■■「ロスト・アイズ」■■■
(65点/サスペンス)

 先天性の進行性視覚障害に悩まされるフリアは、ある日、同じ障害を持ち全盲だった双子の姉のサラが地下室で首を吊って自殺しているのを発見する。

 警察は自殺に事件性は無いと判断するが、姉の自殺に不審なものを感じた彼女は独自に事件の調査を開始し、福祉センターのサラの知人から彼女に数週間前から『恋人』が居た事を知らされる。

 その『恋人』で事件の手がかりを握っているのでは無いかと考えその男の足取りを追うが、生前に男とサラが訪れたと思われる場所で聞き込みを行っても、誰一人として『男の顔を覚えていない』という奇妙な現象に遭遇。

 更に捜査を続けるうちに、彼女は自分自身を不審な男が尾行している事に気づくが…



 目の不自由なヒロインが『姉の死の謎』を追ううちに正体不明の殺人鬼に命を狙われるという、スペイン製のサスペンススリラー映画。

 『目の不自由なヒロインが殺人鬼と対決する』というのは、サスペンスでは「暗くなるまで待って」等でもお馴染みの定番とも言えるシチュエーションなのですが、ギレルモ・デル・トロ製作で「永遠のこどもたち」を撮ったスタッフによる作品という事で、ちょっと捻りの効いた感じのサイコサスペンスとなっております。

 ただ「永遠のこどもたち」はオチで『あっと言わせる』ような構成だったのに対して、こちらはそこまで変化球ではなく割と正統派のサスペンスに近い感じではありますね。

 正統派とは言ってもサスペンスなのでなかなか『一筋縄では行かない構成』になっており、事件を追ううちに展開が二転三転して先が読めない作りなのは面白いですね。

 序盤~中盤~終盤で謎解きのシチュエーションが変化していくような作りで、それぞれに山場のようなものがあって退屈しない作りになっているのは非常に上手いです。

 また目の不自由なヒロインの焦燥感を現すかのような、『画面に相手の顔が全く映らない演出』もなかなか面白いですね。

 ただ、ストーリー自体は非常に面白いのですがサスペンスとしては『設定が強引過ぎるかな』と感じる部分もあって、特に『犯人の動機』と『トリック』の根幹にかかわる部分が『いくらなんでもそれは無いだろ』というようなツッコミどころ満載なノリなのは辛いところ。

 他の部分は非常に良く出来ているので、その部分の『マンガやアニメじゃ無いんだから』って感じのトンデモな設定さえ許容できれば普通に楽しめる作品かなぁ?

 ラストの『ちょっと良い話』的なホロリとさせる展開も良い感じですし、個人的には十分に楽しめた作品でしたよ。


 総評としましては、サスペンスとしては面白いんだけど一部に強烈なツッコミどころがある『割と良く出来てるんだけど、ちょっと人を選ぶ映画』かも?

 そういった要素を許容できるならばとりあえず観ておいて損は無いと思うのですが、『サスペンスはキチっと一本スジが通ってないと嫌だ』という人には、ちょっと不満の残ってしまう作品かなぁ…

 まあ、ツッコミどころを差し引いても普通になかなか面白い映画でしたので、普通にサスペンスが好きでデル・トロ監督の作品として気になっているのであれば、チェックしておく事をオススメしますよ。