■■■「デビル」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)
フィラデルフィアのとある高層ビルのエレベーターが事故で停止してしまい、5人の男女が閉じ込められてしまう。
最初は単なる事故かと思われていたが、停電中に乗客の一人の女性が何者かに刃物で背中を切られるという事件が起こり。
その後もエレベーターの中で次々と異常な事態が発生し続ける。
飛び降り自殺の現場を調べるために現場のビルに訪れていた刑事のボーデンはこの奇妙な事件を急遽担当する事になるが、レスキュー隊が到着するまでに閉じ込められた乗客たちに関する意外な事実が判明。
エレベーター内で繰り返し起こる異常な事態の連続から、迷信深い警備員の一人が『乗客の中に「悪魔」が潜んでいるのではないか』と疑いだすようになるが…
エレベーターに閉じ込められた5人の男女の身に起こる異様な事件を描いた、M・ナイト・シャマラン製作によるシチュエーションスリラー映画。
シャマラン製作・原案による超自然スリラー3部作「The Night Chronicles」の第1作に当たる作品だそうですが、シャマラン製作だし『一発ネタっぽい映画』なのであまり期待して居なかったのですが、なかなか意外にシッカリと作られたサスペンスホラーでした。
お話の流れとしては『5人の男女がエレベーターに閉じ込められる~停電の隙に一人の男が何者かに殺害される~調査に来た刑事が5人の素性を調べるうちに意外な事実が判明していく』といった感じの展開。
『乗客のなかに一人、悪魔が居る』という宣伝の売り文句ながらも、事件は本当に『悪魔の仕業』なのか『人為的に仕組まれたもの』なのかがラストまで判らないように作られている構成は、なかなかに上手いです。
またシチュエーションスリラーながらも、お話が完全にエレベーター内部に閉じられておらず、刑事が『エレベーター内部の人物や周辺を調査する』という展開となっているため、ストーリーにも広がりがあり、意外と退屈しない作りになっています。
徐々に明らかになっていく5人の人物に関する意外な事実や、エレベーターで停電が起こる度に発生する『異様な事件』といった感じで、メリハリが効いた展開なのもサスペンスとしては緊張感があって良いですね。
エレベーターに閉じ込められた5人のキャラクターも、非常にクセのあるキャラばかりでなかなか面白いです。
でもキャラ付けとして『エレベーター内の5人の人間関係』が、事故発生の直後から物凄くギスギスしてて殆ど最悪なのはどうなんだという気もしなくもないですが、まあストーリー展開を早くするという意味では良かったのかも?
ラストのオチはちょっと力技的な印象もありましたが、『衝撃の展開』という程では無いものの、なかなか意外な展開で落としどころとしては上手かったんじゃないかと…
ただ不満点を述べるとしたら、シャマラン製作の作品の割にはちょっと小ぎれいに話がまとまり過ぎてて『シャマランらしいケレン味が感じられなかった事』かなぁ?
(といっても、普通のシチュエーションスリラーよりは十分にクセの強い作品ではありましたが…)
まあシリーズもの3部作の1作目らしいですし、次回作ではもっと『シャマラン節』を効かせた作品を作って貰いたいところですよ。
総評としましては、当たり外れの大きいシチュエーションスリラーというジャンルの中では、小粒ながらも意外にキレイにまとまった『佳作レベルのサスペンス映画』と言って良いでしょう。
物凄く面白い訳でも無いですしそこまでインパクトのある作品ではないですが、普通のレベルで十分に楽しめる内容ですので、シチュエーションスリラーとかが好きならば観ておいても損は無いんじゃないでしょうか?
まあ、いつものシャマラン監督の特異なノリを期待してるとちょっと肩透かしを食らうかもしれませんが、ソレを差し引いてもなかなか楽しめる作品でしたので、気になっているならチェックしておいても良い1本だと思いますよ。