■■■「ナイトメア・オブ・サンタクロース」■■■
(45点/スラッシャー)
12月5日の『聖ニコラス(サンタクロース)の降誕祭』を迎えて盛り上がるアムステルダムで、若者たちの間では奇妙なウワサが囁かれていた。
それは、『23年に一度の満月の降誕祭の夜に、村人たちに虐殺された聖ニコラスの亡霊が復讐に訪れ、捕らえた人間を皆殺しにするというものだった。
子供の頃に聖ニコラスに家族を皆殺しにされたトラウマを持つ刑事のフートは、今年も恐らく聖ニコラスが出現すると予想し降誕祭を中止にする事を主張するが、同僚は誰一人として彼の話を信じてくれずに、逆に無理やり休暇を取らされてしまう。
しかし果たして彼の予想通りに降誕祭の夜に聖ニコラスが姿を現し、街の人たちを次々と虐殺し始め…
23年に一度の降誕祭の夜に蘇った『聖ニコラス(サンタクロース)の亡霊』が次々と人間を虐殺して廻るという、オランダ製のスラッシャーホラー映画。
何年かに一度の割合で作られる『サンタクロースが殺人鬼だった』という設定のスラッシャー映画ですが、今回はオランダ製の作品です。
本作では、サンタの原型に当たる『聖ニコラス』が実は暴虐の限りを尽くした暴君で、村人に虐殺された事への復讐の為に亡霊となって蘇るという、ちょっとだけ捻りの効いた設定になってる感じ。
聖人なので従来のサンタスタイルではなく、白馬に乗って錫杖を持ち赤い法衣をまとった姿で現れる訳ですが、この『白馬に乗って街のビルの上を颯爽(さっそう)と駆け巡るサンタの姿』が、矢鱈と無駄にカッコ良くてちょっとシビれてしまいます。(笑)
『煙突から現れて人間を殺害し死体を袋に詰め込んで持ち去っていく』というシチュエーションも、なかなかインパクトがあって面白いですね。
ただ、殺人サンタのビジュアルやシチュエーションは面白いのですが、ホントに『ソレだけの映画』で終わっちゃってるのが残念なところかなぁ?
予告映像でいま言ったようなシーンが出てきたので『これは、なかなか面白そう!』と思って期待して観たのですが、ホントに見所が『いま言ったようなシーンだけ』なんですよ。
B級映画では時々あるパターンなんですけど、ハッキリ言ってしまうなら『予告編に見所が全部詰まってしまってる映画』とでも言いましょうか…
肝心の本編の方は殺人サンタの活躍するシーンもそこまで多くなくて、ハッキリ言ってちょっと物足りない印象。
作品のテンポ自体は悪くないんですが、全体的に見せ場がそこまで多くなくてどうしても退屈しがちになってしまうんですよね。
主人公たちのキャラクターもあまり立っておらず、特に主人公とヒロインが『実はこいつら必要なかったんじゃ?』ってぐらいに影が薄いのはいかがなものか…
ラストも何だか釈然としない感じの終わり方ですし、何かモヤモヤした感じのものが残っちゃう感じだしなぁ…
やはり『予告編で面白いシーンが全部出ちゃってる』ので、凄い『物足りなさ』というか『食い足りなさ』を感じてしまうのが、一番の不満の原因ですかねぇ?
総評としましては、殺人鬼のキャラクターやら設定やらは悪くないんですけど、先述のとおり何とも言えない『物足りなさの残る作品』でした。
ぶっちゃけてしまうと『予告編だけ観ておけば事足りる』タイプの作品なので、予告を見て『面白そう』と感じた人に薦めれるかと言われると、なんとも悩ましいところ。
まあ作品自体の出来は悪くはないですので、ある意味で定番の『クリスマスネタのホラー映画』として押さえておきたいというのであれば、とりあえず観ておいても損はしない感じの1本だと思いますよ。