実業家・ヴェンネルストレムのスキャンダルを暴いた「ミレニアム」誌の発行責任者のミカエルは、逆に名誉毀損で訴えられて裁判で敗訴してしまい、雑誌社が経営困難に陥っていた。
そんな折に彼は、一族企業の元会長で大富豪であるヘンリックから『自伝の執筆』の依頼を受ける。
『会社の危機にそのような依頼は受けられない』と仕事を断ろうとする彼だったが、ヘンリックの本当の目的は彼のスキャンダルを暴きだす『調査能力の高さ』に期待して、40年前に忽然と姿を消した姪のハリエットを誰が殺したかを、自分の死の前に突き止めさせる事であった。
また、この依頼を完遂すれば彼の持っている『ヴェンネルストレムを追い詰める為の切り札』を渡すというヘンリックの条件から、ミカエルはこの依頼を引き受けて40年前の失踪事件の謎へと挑むこととなるが…
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劇場にて「ドラゴン・タトゥーの女」を観てきました。
本作は、なんでも全世界で大ヒットしミリオンセラーとなったミステリ小説の映画化作品で、本国のスウェーデンでも映画化され大ヒットした作品のハリウッドリメイク作品という事で、ミステリやサスペンス好きの人間の間では公開前から割と話題になっていた作品です。
ぶっちゃけフィンチャー監督の映画って『一発ネタ』的な要素が強いので、ミステリとしての完成度にちょっと不安を抱いていたのですが、流石に原作がシッカリしている内容だけあって本作に関しては不安は杞憂に終わりましたよ。
(つか『一発ネタ』に走らなければ、この監督の映像センスとかは好きなんですけどね。)
(つか『一発ネタ』に走らなければ、この監督の映像センスとかは好きなんですけどね。)
肝心の内容の方は、非常に本格的なミステリ作品って感じのお話ですね。
登場人物が多くて人間関係も非常に複雑、序盤はヒロイン(ドラゴン・タトゥーの女)がお話に絡んでくるまでのプロセス(別の話の流れ)まで入るので、とにかく話がややこしくて頭がこんがらがりそうになります。
ですがワケワカメになる前に中盤からの謎解きパートで、謎が少しづつつまびらかになって行き、お話も一気に進展していくという流れは非常に痛快で秀逸です。
謎を追っていくプロセスも理に適っていて見応えがありますし、手がかりや伏線の仕込み方もなかなか上手い。
逆に一発ネタ的な意外性とかはあまり無いですが、そういうのが無くても良質のミステリは十分に成立するという好例とも言えるかも?
逆に一発ネタ的な意外性とかはあまり無いですが、そういうのが無くても良質のミステリは十分に成立するという好例とも言えるかも?
また映画の尺も2時間半もある割には非常に密度が濃くてテンポも良いので、時間をあまり感じさせずに集中して観きれるのも良い感じですね。
ただ観ていて若干気になった点としては、もともとが更に尺の長い話であろう事もあって、映画化に際して登場人物の『心理描写』にあまり尺が割かれておらず、特に『ヒロインが何で主人公に惚れるのか』とかサッパリ分からなかった辺りは難点かなぁ?
(そのせいでラストの展開とか、ちょっと唐突に感じました…)
(そのせいでラストの展開とか、ちょっと唐突に感じました…)
あとヒロインが万能すぎて、能力がチート(いかさま)レベルなのはちょっと都合が良すぎな気も…
またコレは映画の内容に関する事ではないですが、お話の中身が濃すぎる上に尺が長いので、観ていて非常に疲れてしまうのは難点といえば難点かも?
そういう意味では、ちょっと精神と体力に余裕のある時に観たほうが良い映画と言えるでしょう。
(自分はストーリーを理解するのに脳をフル回転させる必要があったため、観ていて物凄く疲れました。)
そういう意味では、ちょっと精神と体力に余裕のある時に観たほうが良い映画と言えるでしょう。
(自分はストーリーを理解するのに脳をフル回転させる必要があったため、観ていて物凄く疲れました。)
総評としましては、文句なしとは言えないまでも『非常に面白い良く出来たレベルのミステリ映画』だと思います。
個人的にはかなり楽しめた内容でしたので、ミステリ作品が好きな人であればほぼ間違いなく楽しめる作品では無いかと…
一発ネタとかインパクトはそこまで強くないですが、そういうジャンルが好きな人であれば、とりあえず劇場まで観に行っておいても損は無い一本だと思いますよ。
(むしろ片手間に観てるとストーリーが分かんなくなりそうなので、劇場で集中して観るのをオススメします。)
(むしろ片手間に観てるとストーリーが分かんなくなりそうなので、劇場で集中して観るのをオススメします。)
ちなみに本作は「ミレニアム」シリーズの3部作の1作目に当たる作品という事なので、2作目以降も楽しみな感じですよ。