NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ラストデイズ・オブ・ザ・ワールド」(45点/モンスター)

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■■■「ラストデイズ・オブ・ザ・ワールド EPISODE1:トリフィドの日」■■■
■■■「ラストデイズ・オブ・ザ・ワールド EPISODE2:人類SOS」■■■
(45点/モンスター)

 近未来、人類はアフリカで発見された『トリフィド』という食肉植物から得られるオイルが化石燃料の代替となる事を発見。

 トリフィドは人間を襲う危険な存在であったが、各国はこの植物を厳重に管理する事によって栽培に成功しエネルギー問題を解決していた。

 しかしそんなある日、彗星の尾を地球が通過するという天体現象が発生。
 この天文現象は『世紀の天体ショー』と呼ばれ多くの人々がこの現象を観測するが、この彗星による太陽風の爆発のを観たすべての人間が失明してしまうという異常事態が発生する。

 この事件により世界は大混乱に陥り、厳重に管理されていた筈のトリフィドは世間へと解き放たれてしまい、ほとんどの人間が視力を失った人類はトリフィドの脅威にさらされ、人類滅亡の危機へと陥っていくのだった…



 太陽風の閃光によって人々の大半が失明した世界で、食肉植物「トリフィド」の脅威によって滅亡の危機に晒されるという、モンスターパニック映画。

 ジョン・ウィンダムの古典SFである「トリフィドの日(トリフィド時代)」をTV映画化した作品なのですが、「トリフィドの日」自体は過去にも2回ほど映画化されているので既に観たことがある人も居るかもしれません。
 (ちなみに、過去に映像化された時の邦題が「人類SOS」と「デイ・オブ・ザ・トリフィド」で、そのタイトルが各巻のサブタイトルになっていますね。)

 そんなに何度も映画化するほどメジャーな作品なのかは不明ですが、本国の英国では人気のある作品なのかなぁ?(まあ、原作は確かに面白いんですが)
 でも、どうせ再映像化するなら同じ原作者の「海竜めざめる」でも映画化して欲しいですよ。
 あちらの方が絵的に派手で映画化には向いてると思いますし…

 まあ、それはさておき今回の映画化に関しては、かなりお話の内容がアレンジされており『同じ設定をベースとした別のお話』と言っても良いレベルかも?

 もともと原作者のジョン・ウィンダムの作品は『SFをベースとした社会風刺や人間ドラマ』的な作風で、本作も原作では『派手さは無いけど説得力のある面白さ』のある作品なのですが…
 今回の映像化に際しては、派手で見栄えが良くなるようにストーリーがかなり改変されております。

 失明した人間を救おうとする善意の一団が、単なる『独裁者の率いるテロ組織』みたいな扱いになってたり、トリフィドに生贄を与えて生き残ろうとするカルト集団が出てきたりと、原作の展開を踏襲しながらも派手になるように相当なアレンジが加えられている印象。
 レジンスタンス風の美少女がメインキャラとして出てきた辺りで、流石に『そこまでキャッチーな方向を狙わなくても良いだろ』とツッコミを入れたくなりましたよ。(笑)

 トリフィドも物凄く強力なモンスターにされており、ぶっちゃけあそこまで危険なら『人類の大半が失明してなくても漏出したらヤバいレベルの怪物』なので、国家で安全管理されてても飼育しちゃダメだろうって感じ…

 まあ、お話を派手にする事で面白くなってれば良いのですが、実際にはそこまで面白くもなってないのは辛いところ。

 何よりもあまりにもお話を改変してしまっているせいで、ストーリーの整合性が今ひとつ取れなくなってしまってるのは気になるところですねぇ。
 だいたい人類が失明する原因が『一瞬だけ全天を覆う閃光』だと、たまたまその時間に外に出てなかった人は失明してないでしょうから、もっと『失明しなかった人』が多くないとおかしいですし…
 (原作では『一晩中に渡って続いた流星雨』の光を見た事が原因なので、殆どの人が失明してるという設定にも説得力があった。)

 また、映画版のオリジナル設定である『悪役キャラ』もイラつくだけで魅力が全く無いですし、アフリカの奥地で主人公がトリフィドに出会ったという設定も蛇足的で意味不明。
 何か『原作の良さをスポイルしてしまっている』としか思えない改変部分が多くて、正直言って微妙です。

 原作を気にせずに観る分には作品自体はそこそこお金がかかってて出来は悪くないのですが、前後編で180分という長尺なうえに、ちょっとダラダラとした展開が多くて途中でダレてしまうのは辛いですねぇ。

 オチも中途半端で投げっぱなしなオチですし、あんなオチにするならば素直に『駆逐に成功した』って展開にした方がよっぽどスッキリして良かったと思うんですけど…


 総評としましては、無駄に尺が長い割には全体的に盛り上がりに欠ける『微妙な出来のモンスターホラー映画』というのが正直な感想ですね。

 原作と思いっきり別の話になっているので、原作を知ってる人でもストーリーを楽しめるってのは良いのかもしれませんが、そのストーリー自体がイマイチなので原作のファンが見る価値があるのかと言われると微妙なところ。

 そこまでツマんない訳でも無いのですが、映画2本分の費用と時間を費やしてまで見るほどの作品かと言われると正直言って悩ましいレベルなので、『TV放映とかされたなら、チェックしておけば良いぐらいの内容かな?』って感じの作品て感じですかねぇ…