NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アナザープラネット」(40点/サスペンス)

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■■■「アナザープラネット」■■■
(40点/サスペンス)

 17歳でMITに合格した天才少女であるローダは、ある日。車の運転中に対向車と正面衝突をするという事故を起こしてしまい、事故の相手の妻と子供を死なせてしまう。

 過失致死罪で刑務所に収監され4年の刑期を経て釈放された彼女は4年前の事故を悔やみ続けて、謝罪をするために事故の唯一の生き残りである大学教授の男性の元を訪れるが、自分が事故の犯人だと言い出せずに清掃員のフリをして彼の元で働く事となる。

 その頃、地球の上空には『第2の地球』と呼ばれる謎の惑星が出現し、地球と全く同じパラレルワールドが存在し、その場所に『もう一人の自分』が居るという驚くべき事実が判明。

 宇宙への憧れを抱いていた彼女は、罪の意識から逃れるために『第2の地球』へ行きたいと考えるようになるが…



 交通事故で他人を死なせてしまった少女と『第2の地球』をめぐる物語を描いた、ファンタジー風味のサスペンス映画。

 パッケージやストーリーの解説を聞くと、いかにもSFチックな内容を予想するかもしれませんが、どちらかと言うとファンタジー的なテイストの強い、いわゆる『雰囲気映画』というタイプの作品ですね。

 サンダンス映画祭で賞を受賞した雰囲気映画』だと言えば、その手の映画を良く観る人ならば、だいたいどんな感じのノリの映画かは見当が付くかも?

 お話的には、事故で他人を殺してしまったせいで罪の意識から逃れられない少女が、新たな人生の一歩を踏み出すために遺族へ謝罪しようとするんだけど、次の一歩が踏み出せない…
 という感じの『心の葛藤』を描いたストーリーで、その辺の人間ドラマをファンタジー風味で味付けしたような感じの作品ですね。

 ですので『第2の地球』に関しては特にSF的な裏づけとかがある訳でもなく、基本的には味付け程度の存在だと思っておけば間違いないです。
 というか、どちらかというと『もうひとつの人生の可能性』とか『別の人生の選択』によって運命を切り拓く事への暗喩といった感じですかね?

 サンダンス映画祭で賞を受賞しただけあって作品の雰囲気は非常に良くて、個人的には映画のテイストは嫌いではないのですが、サスペンス映画として期待してみると『ちょっと退屈な印象』ってのが正直なところ。

 もっとサスペンスSF的な要素が強い内容を期待していたのですが、どちらかというと『少女の心の葛藤と成長を描いた物語』のようなテイストなので、全体的にまったりとした感じの展開で、悪く言うならば『ちょっとダルい内容』です。

 パッケージとかストーリーの解説とかで『衝撃のサスペンス』みたいな感じであおられてなければそういう不満も無かったのかもしれませんが、ぶっちゃけコレってサスペンス映画じゃないよなぁ…
 少女の心の動きを繊細に描いた雰囲気や、『もう一つの地球』が空に浮かぶ幻想的な光景といったテイストは非常に良く出来てるんですけどねぇ…

 ラストも『言いたい事は分からなくはない』のですが、エラく唐突で尻切れトンボな感じでやけにアッサリしててちょっと拍子抜け。
 なんでこの映画を『衝撃のSFサスペンス』として売り出そうとしたのかが謎過ぎます。

 同じファンタジー風味のサスペンスでも「ドニー・ダーコ」とかぐらいのインパクトがあれば良かったのでしょうけど…


 総評としましては、『雰囲気映画』として観ると『なかなか良く出来た映画』なのですが、『サスペンス』としてみると『ちょっと退屈な映画』という感じの作品ですね。

 パッケージとかを見るに妙に『SFサスペンス映画』として売り込もうとしてるので、そっち方面を期待して観た人の大半が肩透かしを食らわされてしまうような内容なのは、正直言っていただけないかと…
 (百歩譲って『サスペンス』は良いとしても『SF』の要素は皆無ですから。)

 『雰囲気映画』や『人間ドラマ』として観るならば、そこそこ普通に楽しめる作品だと思いますので、そういったテイストの映画が好きであればチェックしておいても良い一本だと思いますよ。