NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ミッション:8ミニッツ」(70点/サスペンス:オススメ)

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■■■「ミッション:8ミニッツ」■■■
(70点/サスペンス:オススメ)

 シカゴで乗客全員が死亡するという、凶悪な列車爆破テロ事件が発生。

 アメリカ陸軍のスティーブンス大尉は、特殊な装置を使い過去にさかのぼって『事件の8分前』の他人の頭の中に入りこむ事で、事件の犯人を突き止めるという特殊任務に就く事になる。

 何度も繰り返し『事件の8分前』の時間を体験する事で徐々に事件の真相へと近づいていく彼だったが、最初は装置の影響で混乱していた記憶が戻ってくるにしたがって『何故、自分がこの任務に就いているのか?』に関して疑問を抱くようになっていき…

 やがて彼は、この任務に関わる『驚くべき秘密』を知らされる事となるのだった。



 時間を遡り(さかのぼり)過去の他人の頭の中に入り込む事によって、爆破テロを阻止しようとする特殊任務に関わった一人の男の辿る運命を描いた、SF風味のサスペンス映画。

 ネタとしては「バタフライ・エフェクト」とかで最近少し流行っている感じの、いわゆる『タイムトラベル系のサスペンス映画』なのですが、『同じ時間を何度もやり直す』というフィーチャーとしては「ラン・ローラ・ラン」とかに近いタイプの映画かな?

 一応ソレっぽい『タイムトラベルの設定』が出てきたりしてちょっとSF寄りな感じのお話ですが、そこまで科学考証に則っているような話ではないのでSFの部分は『味付け程度』のものだと思っておけば良いレベルですね。

 お話としては、過去にさかのぼって『爆弾テロの犯人を捜す』というメインの流れがあるのですが、単純にそれだけで終わらずに『自分が何故この任務に関わっているのか』を突き止めるという『もう一つの話の流れ』がある辺りで、他のタイムトラベルSFものと上手い具合に差別化できているのは良い感じです。

 というか、むしろそちらのストーリーの方が『メインストーリー』のような流れなのは、ちょっと意表を突かれましたよ。

 主人公が過去にさかのぼる事で行っている行為は、単に『パラレルワールド』の可能性を探っているだけという設定も妙なリアリティがあって面白いですし、その設定を上手くギミックに組み込んだストーリーの組み立てもなかなか良い感じ。

 ただSF風味のドラマとしてストーリーを見ると面白いのですが、サスペンスとして見た場合はかなり大味な印象。

 8分という時間制限があるのに、主人公が殆ど何のヒントも無しにイキナリ爆弾を発見してしまったり、何百人も居る乗客からイキナリ犯人を見つけてしまったりと、『そんなに都合の良い展開は無いだろう?』とツッコミを入れたくなるような内容。

 犯人に関しても、話の流れに殆ど関わってない人間が唐突に登場する感じ(といっても、割と序盤からバレバレ)だし、むしろそういう意味での本格的なサスペンス映画を期待してると、ちょっと肩透かしを食らうかも?

 そもそも犯人がそこまで事件を隠蔽しようとしてる感じでも無かったので、『こんな装置を使わなくても、普通に検問を敷いてるだけで2回目のテロは阻止できたんじゃ無いか?』と言うツッコミを入れたくなったのは自分だけですかね…

 まあどちらかと言うと、SF的な仕掛けを使って一人の男の生き様を描いた『人間ドラマ』と言うほうがメインみたいな感じですし、『突き抜けるほどの爽やかなラストの展開』とかも良い感じですので、非常に爽快な気分になれる良作ではありましたよ。
 (主人公のオリジナルである、『教師』の人はどうなったんだというツッコミはありますけど…(笑))


 総評としましては、サスペンスとしてはそこまで凄いわけでも無いですが『エンターテイメント作品』として観るなら、間違いなく『なかなか良くできた良作映画』という感じの作品ですね。

 大仰な設定の割には意外性はあまり無いものの、純粋に『ストーリーが楽しめる』という点では面白い映画だと思いますので、気になっているのであれば普通に観ておいて損は無い一本だと言えるでしょう。

 こういうジャンルが大好きな人にとっては、逆に物足りなさを感じてしまう作品かもしれませんが、それを差し引いたとしても個人的には『観てよかった』と思える映画でしたよ。