■■■「ヘル・トラップ」■■■
(40点/サスペンス)
1942年。
ドイツ軍の侵攻を受けるフランスから飛行機で脱出しようとしていたフランクらの3人の男たちは、脱出に利用した飛行機が事故により大西洋に墜落。
海の上をゴムボートで漂流するうちに、無人島らしき場所にたどり着くこととなる。
島を探索するうちに洞窟のような場所へと転落してしまった彼らは、洞窟の奥に奇妙な隠し扉を発見。
更にその奥に、奇妙な研究所のような施設が隠されている事を知る。
いったい誰が何のためにこんな場所に研究所を作ったのかに疑問を抱いた彼らは、その秘密を探ろうとするが、その一室で冷凍状態で保存された『美女』の入ったカプセルを発見し…
大西洋上に浮かぶ絶海の孤島に隠された謎の施設を発見した男たちの運命をめぐる、フランス製のシチュエーションスリラー映画。
いわゆる『謎が謎を呼ぶ』みたいなタイプのシチュエーションスリラー映画で、雰囲気的には「LOST」とかの物凄くスケールの小さくなったバージョンみたいな感じの作品かな?
お話の方は、ひとことで言ってしまうなら『何だか良く分からん話』としか言いようが無いような映画ですな。
いやストーリーやらはそこまで難解な訳ではなく、本編の核心部分である『謎の研究施設』の正体とかも割と明確に説明されるんですが、『だから結局なんなんだよ?』って言うのが良く分からないんです。
あまり詳しく書くとネタバレになってしまうので書きませんが、端的に言うと『主人公達が何をやりたいのかが分からない』のと『監督が何を描きたいのかが分からない』んですよね。
研究施設の秘密も大層な前フリの割には『全然たいしたことがない秘密』ですし、主人公がユダヤ人でナチに追われてるみたいな設定も本編で再三出てくる割には全くストーリーに絡んできません。
登場人物が3人しか居ないのに、一人が速攻で死んでしまって『全く伏線にも何にもなってない』という作りも謎ですし、回想シーンで何度も挿入される『巨大なクモ』のイメージや、主人公が読んでいる「オズの魔法使い」とかも何かの暗喩になっているのかもしれませんが、その辺の『意味ありげな演出』の全ての本編との関連性が全くもって意味不明。
特にラストの展開に到っては、何が起きて何がどうなったのかがサッパリ分からなかったんですが、ここまで意味が判らないと自分の理解力不足だけの問題では無い気がします。
映像センスとか雰囲気とかは良くて他の部分の完成度はそこそこなので、まあそれなりに観れるレベルにまとまっているのは良いのですが、別に『雰囲気映画』や『カルト映画』ってほどに意味不明でも無くて、ストーリーは割と単純な作りなのに何が言いたいのか良く分からない辺りが『奥歯の間に物が挟まってるような違和感』を感じさせる大きな要因になっているのではないかと…
コレならばむしろ『実は事故にあった主人公の見た幻覚でした』ってオチの方が、まだスッキリするレベルだよなぁ。
総評としましては、面白いとか面白くないとかとは別のベクトルで『何だか釈然としない映画』としか言いようが無い作品でした。
ハリウッド映画みたいに『単純明快な映画』以外は受け入れないという訳では無いのですが、ここまで『だから何なんだよ?』って感じの作品は流石に辛いものがあるので、あまりオススメは出来ない映画かなぁ?
『雰囲気映画』とかが大好きな人であれば、まあそこそこ観れるレベルの作品ではあると思いますので、どうしてもこの『釈然としない気分』を味わってみたいのであれば、試しにチェックしてみても良いかもしれませんよ…