■■■「スパイダー・パニック!2012」■■■
(35点/モンスター)
アフガニスタンで戦闘を行うアメリカ軍の小隊『ウォーリアー6』は、ゲリラとの戦闘中に敵軍が原因不明の全滅をするという奇妙な現象に遭遇。
敵兵が地元民の間で『砂の悪魔』と呼ばれて恐れられている、巨大な毒グモに襲われて死んでいるのを発見する。
その戦闘の際に負傷した指揮官のスタージェス大尉は、戦闘で死亡した仲間の遺体と共にアメリカへと帰国する事となるが、回収した遺体と共に『砂の悪魔』がアメリカへと侵入。
遺体からアリゾナの荒野へと逃げ出した大量の巨大な毒グモによって、人々は大パニックへと陥って行くのだった…
中東に棲息する巨大な毒グモ『キャメルスパイダー』の大群がアメリカへと侵入し人々が脅威に晒されるという、ロジャー・コーマン製作によるモンスターパニック映画。
「スパイダー・パニック!2012」とかいかにもシリーズものっぽいタイトルが付いていますが、当然ながらオリジナル版とは何の関係も無い、配給会社が勝手にタイトルを付けただけの『なんちゃって続編』タイプの映画ですな。
ちなみに原題はそのものズバリ「CAMEL SPIDERS」で、本編でも50cm~1mぐらいの巨大なキャメルスパイダーが大量に登場してきて人間を襲う訳ですが…
現実のキャメルスパイダーは確かに危険な毒グモ(正確にはクモではなく「ヒヨケムシ」の仲間)ではあるのですが、デカいと言ってもせいぜい15cm程度のサイズで人間を当然ながら食ったりはしません。
(まあ、ネズミやトカゲぐらいは襲って食べてしまうらしいですが…)
※追記
「毒グモ」と記載してしまいましたが、実際のヒヨケムシは毒を持っていないため『クモの仲間』ではあるものの毒グモでは無いそうです。
以下、毒グモとの表記の部分は無視して(というか「巨大グモ」ぐらいに読み変えて)ください。
master of puppetsさん、ご指摘ありがとうございました。
ただ中東に派兵されたアメリカ兵の間で、キャメルスパイダーのあまりのキモさから『50cmを超えて人間を食べるキャメルスパイダーが居る』というウワサが流れた事があったらしいので、その辺が元ネタになった映画なのではないかと…
とまあ現実のキャメルスパイダーの話はさておき映画の本編についての感想ですが、肝心の映画の方は何と言うか『恐ろしく内容の無い映画』ですな。
ストーリーの流れとしては、『中東から持って帰ってきた兵士の死体にキャメルスパイダーがくっ付いて侵入してきました』というソレだけの設定なのですが、死体にくっ付いてきただけのキャメルスパイダーが『異常に巨大な事』や『あり得ない数に繁殖している理由』に関する説明とかは一切なし。
『アリゾナに侵入した毒グモが突然変異して大繁殖した数ヵ月後』とかって設定ならまだ分かるのですが、棺桶いっぱいにミッシリと毒グモが入ってたとしてもサイズ(1匹が50cmぐらい)から考えて10数匹が限度だと思ので、何の理由もなく何百匹もの毒グモがウジャウジャと出現するのは流石にちょっと理不尽すぎです。
まあロジャー・コーマン製作の映画ですし、別にB級ホラーのストーリーにそこまで整合性を求める訳でも無いですが、ここまで設定がアバウトだと流石に違和感を感じざるを得ませんよ…
お話の方もストーリーらしいストーリーは一切なくて『毒グモに追いかけられた人間がひたすら逃げ回るだけ』という展開で、ストーリー的に盛り上がる要素が全く無いのはキツい。
まあ毒グモが矢鱈と凶暴で人間を襲いまくって食いまくるのは出し惜しみがなくて派手で良いんですが、いかんせん『1m程度の毒グモが人間に飛びつくだけ』というシーンの繰り返しで、毒グモの種類も1種類のみなのでなので見せ方に工夫が無くて面白味に欠けます。
ラストのオチも『何の解決もしてないだろソレ』って感じの投げっぱなしな終わり方ですし、流石にここまで内容が無いとちょっと誉めるところを探すのが難しいレベル…
まあ巨大生物はとにかく大量に登場して出番も非常に多いので、『退屈するほどダルい内容では無い』って事が良い点と言えるかなぁ?
あと終盤まで登場して、『もう一人の主役』っぽい扱いだった『大学生のグループ』がラストシーンでは完全に忘れ去られていたような気がするのですが、あの人たちは結局どうなったんでしょうか…
総評としましては、テンポだけは良いのですが全体的に面白味に欠けるというか、ぶっちゃけ『面白い部分が見当たらない』というか…とりあえず『暴れまわるモンスターの姿を見るだけ』の作品って感じですな。
『とにかくキャメルスパイダーが走り回る姿を観たい!』という確固たる動機でもあれば観れる内容だと思いますが、そうでなければ流石にちょっと辛い部分の多い作品かも?
まあB級映画大好きで『いつものコーマン監督の作品』だと理解して観る分には納得の行くレベルではあると思いますので、その辺を覚悟した上で『どんな映画なのか気になっている』というのであれば観てみても良いんじゃ無いでしょうか…