■■■「DATSUGOKU ~脱獄~」■■■
(70点/サスペンス:結構オススメ)
自ら犯した罪を償う為に刑務所で刑期を過ごすフランクは、ある日、娘からの手紙によって『娘のリサが薬物依存症になり命が危ない』という事を知らされる。
なんとかして娘に一目でも会いたいと考えた彼は、新入りのレーシーを含む4人の仲間たちとともに刑務所からの脱走計画を企てる。
着実に脱走の為の準備を整える彼らだったが、刑務所内で権力を持つ囚人の仲間に計画を感づかれてしまった事から、それが思わぬトラブルへと発展してしまい…
巨大刑務所から脱走を企てた5人の男たちの運命を描いた、クライムサスペンス映画。
タイトルだけ聞くと、スティーブン・セガールでも登場しそうなアクション映画っぽい印象を受けますが、「サンダンス映画祭」でプレミア上映されて好評を得た作品という事で、どちらかというと『やや毛色の変わったタイプのサスペンス映画』という印象が正しいかも?
お話の流れとしては主人公達が脱獄の準備をする『刑務所内パート』と、実際に脱獄を行う『脱獄パート』がパラレルに進行していくような作りなのですが…
このストーリーがややこしくて難解になりそうな構成で、全く問題ないレベルで分かりやすく物語を描いているのはなかなかに上手い。
また、この手の作品では脱獄の準備をするパートとかは割と退屈な内容になりがちですが、本作の場合はむしろそちらがメインと言っても良いレベルでシッカリと作られているのも良い点ですね。
『刑務所内の人間関係』を描いたドラマや『脱走しようとする5人の男たちの動機』やキャラクターも非常に上手く描かれており、メインの登場人物たちのキャラクターが良く立っているのも良い感じ。
あと『刑務所内パート』は、事後の『脱走パート』とパラレルで描かれている『過去の部分』である筈なのに、緊張感があり『先の読めない展開』になっているのは純粋に『凄いなぁ…』と感心しましたよ。
終盤で描かれる『ちょっと意外な展開』と印象的なエンディングも良い感じですし、なるほど色んな意味で『サンダンス映画祭で評価された作品』だけの事はある内容でした。
逆にタイトルから受ける『アクション映画っぽい内容』を期待してると、ちょっと肩透かしを食らわされるかもしれませんけどね…
総評としましては、『コレがサンダンス映画際向けの作品?』という事で期待半分みたいな感じで観てみたのですが、良い意味で予想を裏切るような『シッカリと作られたサスペンス映画』という感じでした。
派手さはあまり無いので、そっち方面を期待してると物足りなさを感じるかもしれませんが、ちょっと毛色の変わったサスペンスドラマとかが好きな人であれば十分に楽しめる作品だと思います。
多少毛色は違いますが『シチュエーションスリラー』とか、その手の映画が好きであれば『とりあえずチェックしておいても損は無い一本』と言えるのでは無いでしょうか?