■■■「ゾンビ大陸 アフリカン」■■■
(60点/モンスター:結構オススメ)
アフリカ大陸で唐突に死者が蘇って、次々とゾンビ化して人間を襲いだすと言う現象が発生。
アフリカに駐留していた軍の技師であるブライアンは、民間人とともに輸送機で最終撤退を行う事となるが、飛行機が途中で燃料切れを起こしてしまい海へと墜落してしまう。
墜落からなんとか一命を取り留めて海岸へと辿りついて、近くの壊滅した村でアフリカ民兵のダニエルと出会った彼は、自分のアフリカ大陸からの脱出の手助けをしてもらう代わりに、軍の基地に避難したダニエルの息子を探す事に協力する事となるが…
アフリカ大陸を舞台に2人の男がゾンビから逃れる為に逃避行を続けるという、ロードムービー風味のモンスターホラー映画。
まあ、いわゆる一般的なゾンビ物のモンスター映画なのですが、『アフリカが舞台』という設定はなかなか珍しい作品かも?
お話としては、本来は敵同士である2人の男たちが協力してゾンビから逃れるために戦うといった内容なのですが、危機から脱するために空軍基地を目指して旅をしていくという展開からしてロードムービー的なテイストも感じさせる作品です。
ただ設定だけ聞くと、なんとなく『男同士の友情を描いた爽やかな作品』のような印象を受けるかもしれませんが、内容の方はとにかく『薄気味悪い印象』が強烈に漂うタイプの雰囲気映画という感じかも…
なにが薄気味悪いかって、本作に登場するゾンビがとにかく不気味。
一般的なゾンビ映画のような『ゾンビっぽい仕草』(手を前に突き出してふらふら歩くとか)があまりなくて、ただ淡々と『ゆっくりと忍び寄ってきて噛み付くだけ』という全くの個性の無さが逆に不気味さを引き立たせている印象ですね。
アフリカの未開の地が舞台ってのも他の作品には無いテイストとして、異様な雰囲気に拍車をかけている感じ…
特撮とかのレベルも決して高くは無い(80年代程度のレベル)ですが、見せ方が結構エグいので中途半端に見れるレベルになってるのも、気持ち悪さに拍車をかけている印象ですね。
映画のストーリーの方は、先述したようにロードムービー的なテイストのある作品ですが、2人の主人公達の微妙な関係や向かう先々の村の人々など、なかなかにキャラクターが良く立っていてちょっとだけ『共感させられたり考えさせられるような作り』なのもなかなか面白いです。
ただ、このストーリーの進行がひたすらにスローテンポで、加えてゾンビの襲撃シーンもひたすらにスローテンポなので、展開のあまりの遅さに途中で眠くなってしまう辺りはちょっと難点と言えるかも?
終盤にかけての『無力感』や『絶望感』なんかはかなり良い感じですし、結構絶望的なラストにも関わらず最後が『希望』を持たせるような引きなのは、非常に上手い落としどころだと思いました。
あと割とどうでも良い事ですが、本作の邦題の「ゾンビ大陸 アフリカン」って文法的に変じゃ無いですかね?
『大陸』なのに『アフリカン(アフリカ人)』って、いったいどういう意味なのかと…
(ちなみに原題は、そのものズバリ「THE DEAD」ってタイトルでした。)
総評としましては、地味で淡々とした作品ながらも雰囲気とかはなかなか良くて『全体的に良い味を出している佳作のゾンビ映画』といった感じの作品ですね。
とりわけ凄い部分がある訳では無いですが、他のゾンビ映画ではあまり見ない『独特の味わいのある感じの作品』ですので、ゾンビものが好きな人であれば観ておいても損は無い一本だと思います。
まあ、最近のゾンビ映画の風潮とは逆のベクトルに進んでいるような映画ではありますが、気になっているならばチェックしておく事をオススメしますよ。