■■■「ザ・レッジ-12時の死刑台-」■■■
(50点/サスペンス)
刑事のホリスは、ある日の10:30頃に『ビルの屋上から飛び降りようとしている一人の男がいる』という通報を受ける。
男を説得するために現場へと向かうが、男はギャビンと名乗り『正午に自分が屋上から飛び降りなければ、他の誰かが死んでしまう』という驚くべき事実を告げられる。
何者かによって彼が脅迫されていると考えたホリスは、彼に何が原因でこんな状況になったのかの説明を求めるが、彼の話を聞くうちに彼の立場を自分の境遇と重ねて考えるようになり…
飛び降りをしようとする一人の男とそれを止めようとする刑事とのやり取りと男に隠された秘密を描いた、サスペンス映画。
いわゆる、一つの固定された舞台を中心にストーリーが進展していくというタイプのシチュエーションスリラー映画ですね。
基本は刑事と飛び降りようとしている男との会話劇が中心で、お話の進展にあわせて『男がどうして今のような境遇に陥っているのか』が徐々に明らかになっていくという感じ。
まあ会話劇といっても、男の過去の『回想シーン』が殆どなので閉塞感とかそういったものは無くて、いわゆる一般的なシチュエーションスリラーとは少しノリが違うかも?
ストーリーは、サスペンスというよりも人間ドラマ的な側面がかなり強めの内容です。
端的にストーリーを説明するなら、『人妻に横恋慕した男が宗教に傾倒した夫から彼女を救おうとしてトラブルに発展する』と言った感じの展開なので、回想シーンでも会話劇が中心でかなり地味な内容。
お話はドラマとしてはそこそこ面白くて、登場する主要人物のキャラクターなんかは非常に良く描き込まれており、ちょっとした『宗教談義』みたいなものがあったり、『人間にとって幸せとは何か』を考えさせられるような部分があったりと、かなり濃い目の人間ドラマといった感じ。
主人公や刑事の境遇にも共感できますし、ヒロインの夫に意外な秘密があったりとストーリーは良く出来ているんですが、とにかく地味な話で登場人物も少なく、お話がなかなか核心に迫らないので『緊張感のあるサスペンス』的なノリを期待していると、中盤ぐらいでちょっとダルくなってしまうかも?
ただオチの付け方なんかは非常に上手くて、もの悲しいお話なんだけど希望を持てるような印象的なラストシーンの見せ方なんかは凄く良かったと思います。
中盤~終盤にかけての展開が、もう少し緊張感があってテンポ良く進めば非常に面白い作品になったんじゃないかと思うので、その辺が残念なところでしょうか…
総評としましては、地味な内容ながらも『ドラマとしてはそこそこ見応えのあるサスペンス映画』といった感じでしょうか。
お話自体は面白いのですが、とにかく盛り上がりに乏しい内容なので普通にシチュエーションスリラー的なスリルやサスペンスを求めていると、ちょっと退屈で肩透かしを食らっちゃうかも?
強くプッシュする程じゃ無いですが悪くも無い内容ですので、そういった人間ドラマ的なノリが好きな人なら満足できるでしょうし、ちょっと気になってるレベルなら1週間レンタルとかで安く借りれるぐらいのタイミングで観てみる程度には良い作品かもしれませんよ。