NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ミッシング・テープ」(10点/サスペンス)

イメージ 1

■■■「ミッシング・テープ」■■■
(10点/サスペンス)

NYに住む大学生のレオは、4人の友人と共にバカンスを過ごすために車で雪山の別荘へと向かう事となる。

 雪道で『彼らの事をあおってくる得体のしれない車』に執拗に付け回された事から不気味なものを感じつつも別荘へと向かった彼らだったが、何とか無事に山奥にある別荘に到着し友人達と楽しいひと時を過ごす。

 しかし翌日の深夜にドアを叩く奇妙な物音を聞いた彼らは、不審なものを感じつつも外を確認したところ、玄関先に謎のビデオテープが置かれているのを発見。

 テープを再生してみたところ、ここに来るまでと別荘に来てから遊ぶ『自分たちの姿が何者かによって盗撮されたテープ』だと知り戦慄を覚えるが…



 雪山の別荘に遊びに来た若者たちが得体の知れない何者かに執拗にストーキングされるという、サスペンスホラー映画。

 最近の流行りのハンディカムによる主観映像を使ったいわゆる『POV形式』の映画ですが、本作は主流のオカルト物ではなくて『POV形式のサスペンス映画』って感じの作品ですね。

 敢えて主流でないジャンルに挑戦した意気は買いますが、何と言いますか最近観たPOV形式の作品のなかでも『抜群にツマんない作品』でしたよ…

 何がツマんないって、面白いとか面白くないとか以前に『サスペンスなのに、怖がろうにも中身が全く無い』という事。

 お話を単純に説明すると『若者たちが正体不明の男にストーキングされました』というソレだけの話で、『無駄な部分を切り詰めて作れば15分ぐらいで終わっちゃうだろ?』ってレベルの中身の薄さ。

 全部で90分の映画なのですが、序盤~中盤の60分ぐらいは『不気味な雰囲気の前振り』はあるものの、特に何の事件が起こる訳でもなくて大学生達がダラダラと遊んでいる姿がひたすら撮影されてるだけ。
 学生達の姿にしても特に深い人間ドラマやらキャラクターの描写なんかは無くて、ホントにダラダラと遊んでいるだけです。

 終盤の60分ぐらいからようやくサスペンスらしい事件が起こり始めるものの、学生たちが勝手にギャーギャーと騒ぎながらパニックに陥っている映像が延々と写ってるだけで肝心の『襲撃されたシーン』は全く写っておらずに、最後まで学生達の安否はおろか『何が起こったか』すらサッパリ分かりません。
 (まあ、シュチュエーション的には『殺された』という事が描きたいのだろうけど…)

 しかも、その盛り上がるシーンも15分ぐらいでアッサリと終わってしまい、じゃあ残りの15分は何が写ってるかと言うと『犯人の視点から学生達を盗撮する映像』が淡々と入っているだけ。

 そちらの映像にも特に核心に迫るような部分は無くて、単に『犯人はこんなにしつこく学生達を付けまわしてましたよ』というのが分かるだけで、それ以外に何か謎解きになるような部分や学生達の運命を示すような部分は無し。

 正直言って、何を思ってこんな『意味のない映像』を15分も収録してあるのか、全く持って意味不明。

 『スナッフフィルム』みたいなメタフィクションを狙った映像という訳でも無いですし、本気で狙いが分かりませんよ。
 メタフィクションを狙いたいのなら、ラスト直前の『ストーカーっぽい男性(?)』を背後から撮ってる映像は明らかに余計でしょうし…
 (単に『いやー、ストーカー粘着質で怖いわー!』ってのを説明したいだけ?)

 最初から最後まで『山場も無ければオチも無ければ意味も無い』というホントにスッカラカンの内容で、『何じゃコリャ!?』としか言いようが無い映画でしたよ。


 総評としましては、面白いとか面白くないとかいう以前に『どうしたいんだよ?(というか視聴者にどうさせたいんだよ?)』と突っ込みたくなるような作品です。

 ぶっちゃけ『人生の貴重な90分を無駄にしたくなければ絶対に観ないほうが良い』というレベルの作品だと思いますが、オチもない『大学生がダラダラ遊んでいる映像』を延々と70分ぐらい見せられる事や、同じシーンの別視点で『犯人の撮った映像』を15分間ダラダラと見せられたいという、極めて稀なマゾヒズム的な性質を持った人ならば、試しに観てみても良いんじゃないでしょうか…

 とりあえず自分としては、本作のお陰で『そこまで寛容な心は持ち合わせてない』って事が判明しましたので、全くオススメはしませんけどね。