■■■「ダブルヘッド・ジョーズ」■■■
(60点/モンスター)
ソロモン諸島周辺に洋上演習に来ていたフランクリン教授の率いる大学生のグループは、乗っていたクルーザーが巨大な深海ザメの死骸に衝突した事から船が浸水を起こすという事故に遭遇してしまう。
近くの珊瑚礁に船を停泊させて修理を行う事となった彼らは無人島と思われるサンゴ島にボートで上陸するが、彼らが島に居る間に海に『2つの頭を持つ異形の巨大ザメ』が出現。
船員や学生達を襲い始め、彼らは洋上のサンゴ島へと孤立させられる事となってしまう。
更に折からの海底地震の影響により、彼らの居るサンゴ島が崩壊を開始しているという事を知った彼らは、なんとかしてクルーザーを修理して脱出するための策を考えるが…
2つの頭を持つ異形の巨大ザメが洋上演習に訪れた大学生たちを襲うという、モンスターホラー映画。
TV映画向けのB級ホラーでお馴染みの『アサイラム』の製作による作品ですが、アサイラムの作品にしては割と予算がかかっている感じで、他の同社の作品よりは割と観れる感じのお話ですね。
ただまあ『人食いザメの頭が2つになった』からといって、人間を2人同時に襲える程度しかメリットは無さそうなもんですが…
実際の映画を観てみるとやっぱりその程度のメリットしかなくて、かなり無理矢理な『取ってつけたような設定』という印象。
まあビジュアル的な部分で個性は出せていると思うので、ホントに一発ネタ的な『見た目のインパクトを狙った作品』って感じですね。
…が、アイデアがどう見ても一発ネタ的な作品の割には、映画の内容の方は割とシッカリと作られたモンスターパニック映画という印象。
序盤~中盤の『島が崩落し始めて主人公たちがピンチに陥るまで』の流れは、ちょっとご都合主義的すぎるだろ…ってぐらいの強引な展開ですが、そこまでストーリーも破綻してないですしテンポも悪くなくて良い感じ。
終盤の島からの脱出計画を立てる辺りや、ラストの島が崩落を開始してからの強引なぐらいに『無駄に盛り上がる展開』も、なかなか熱くて意外と面白いです。
キャラクターの個性付けなんかも割とキチンとされていて、登場人物が多い割には見ていて混乱しないレベルに上手くまとめてますし、大学生の水着のお姉ちゃんを無駄に沢山登場させる事でサービスショットを多く見せようという狙いは、あざとい感じですが嫌いじゃないです。(笑)
特撮に関しては低予算だけあってCGなんかはショボいですが、サメの『頭だけの実寸大のモデル』を作って襲撃シーンを撮影する等の工夫がされており、それなりに迫力を出しているところもなかなか上手い。
双頭のサメが、2つの頭で人間を咥えて2つに引きちぎって食べてしまったり、犠牲者を尾びれで空中に弾いて空中でキャッチしたりといった無意味な過剰演出がなされている辺りも、馬鹿馬鹿しいながらも『楽しんで撮ってるなぁ』って感じで好感が持てます。
ただ人間が海に落ちる時は、何故か『必ず2人で転落して2人を同時の襲うようなシチュエーションを無理矢理作っている』辺りは、もはや強引すぎて微笑ましくて笑えてしまうレベルですけどね。
惜しむらくは終盤の展開までは結構熱いのに、ラストの怪物の退治の方法がちょっとショッパくてイマイチ迫力に欠けるという事かなぁ…
総評としましては、どう観ても『低予算の一発ネタ』の割には、思った以上にキチンと作られた『佳作レベルのB級モンスター映画』って感じの作品ですね。
まあ良く出来てるっても所詮は低予算映画なので『その程度のレベル』な訳ですが、逆にその辺のチープさも含めて『その手のノリが好き』な人ならば、十分に楽しめる作品だと言えるでしょう。
『木曜洋画劇場とかで放映されれば非常にウケの良さそうな映画』なので、そういう方向性の映画が好きであれば、チェックしておいても良い感じの一本かもしれません。