NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「おおかみこどもの雨と雪」を観てまいりました。

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 劇場にて「おおかみこどもの雨と雪」を観てまいりました。

 先日、TVで放映されたサマーウォーズ」で大ブレイクした細田守監督の新作という事で、さっそく劇場まで行って来たので簡単に感想なんかを書いてみたいと思います。

 お話としましてはTV等でも散々CMされているのでご存知のとおり、『狼男と結婚した少女と2人の姉弟の成長』を描いた『ちょっと良い話』系のファンタジーといった感じのお話です。

 ちなみに自分はこの映画って、てっきり『ひと昔前の日本』が舞台の現代風ファンタジーだと思っていたのですが、実際にはおもいっきり現代劇でちょっとビックリしましたよ。

 映画の内容に関しては、おおむねの予想通りいわゆる心温まる『ちょっと良い話』的な作品ですね。

 日本最後の『狼男』の姉弟の母親となった一人の女性が『亡き夫の意志を引き継いで強く成長していくドラマ』であり、雨と雪の2人の姉弟が『人々や自然と触れ合いながら大人へと成長していく物語』といった大まかなストーリーで、良い意味でも悪い意味でも大きな裏切りも無く期待どおりにお話が展開していくといった感じです。

 登場する人物にに基本的に『悪い人』は居らずに主人公達のキャラクターも非常に魅力的なので、何は無くとも安心して観れる感じの作品ですね。

 いわゆるスタジオジブリ』的なノリなのですが、押し付けがましく感動させようとするような演出はあまり無くて、雪と雨の2人の『それぞれの生き方』を対比して描く事で、どちらが正しいという結論を出さずに『過剰に説教臭くならないように話をまとめてる』のは、なかなかに上手いと思いました。

 ただ難点を挙げるとしたら全体的にお話が地味で、どうにも『華やかさや派手さに欠ける』のは辛いところ。

 特に序盤が非常に淡々と話が進む上にシッカリとした起承転結がある訳でもなく、特にコレといった山場を迎える事もなく唐突にラストに突入してしまうので、映画を観終わった後に『えっ、もう終わりなの?』という印象を抱きました。
 まあ、題材からして「サマーウォーズ」や「時をかける少女」みたいな派手な展開は無さそうだとは思っていましたが、それにしても全体的にアッサリしすぎといった感じ…

 あともう一つ個人的に感じた難点を挙げるとしたら、お話の内容が『ジブリ的』だと先述しましたが、あまりにも『ジブリ的すぎる』きらいがあることですね。

 この話自体は別に普通に『良い話』だしそこそこ面白かったのですが、『どうせジブリっぽい映画を観たいならジブリの映画を観るよ』ってのも正直なところ。
 細田監督には、もっと派手で迫力のあるエンターテイメント向けの作品を撮って、家族向けと若者向けを繋ぐ『架け橋』となるような作品を作って貰いたかったですよ。

 細田監督が今後どういう方向性を目指して行こうとしているのかは分かりませんが、今後も「おおかみこども~」のようなノリの作品を撮り続けていくつもりなのであれば、せっかくの監督の持ち味が無くなってしまう感じでちょっと『勿体無いなぁ…』という気がしました。
 (ぶっちゃけ、そういう映画なら細田監督じゃなくても撮れちゃう気がしますからねぇ…)

 そういう意味では、やや期待外れと感じる部分もあった映画だったかなぁ?


 とまれ総評としましては、『ファミリー向けの作品』という方向性としては非常に良く出来た『安心して観れる良作』ではあると思います。

 ただ「サマーウォーズ」や「時かけ」の細田監督が好きという人は、あんな派手さは無いですし、ちょっと毛色が違うので物足りなさを感じてしまう作品かもしれません。

 まあ総じて良く出来たアニメではありますし、細田監督の今後の方向性を占う作品とも言えるかもしれませんので、気になる方はチェックしておいても良いのではないでしょうか?