NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「デビル・インサイド」(45点/オカルト)

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■■■「デビル・インサイド」■■■
(45点/オカルト)

 1989年10月30日。
 緊急番号にマリアと名乗る女性から『3人の人間を殺害した』という通報が入る。

 実際に警察が現場に駆けつけると3人の聖職者が殺害されており、この事件で彼女は解離性同一性障害(多重人格)と診断され施設へと収容される事となる。

 事件から20年後に『悪魔祓いの儀式』の最中に事件が起こったと父親から知らされたマリアの娘のイザベラは、『母親に何が起こったのか』の真相を知るためにドキュメンタリー映画の制作のスタッフと協力して調査を開始。

 スタッフと共に、ローマの精神病院に居る母親の元を訪れる事になるが…



 『悪魔憑き』となって殺人を犯した女性の娘がローマの教会を訪れて『悪魔祓い』の真実に迫るという設定の、モキュメンタリー風味のオカルトホラー映画。

 いわゆる、最近流行りのモキュメンタリー(なんちゃってドキュメンタリー)タイプのオカルトホラー映画ですね。

 ただ、主流のPOV(主観映像)形式の作品ではなく、『悪魔祓い』を取材してドキュメンタリー番組を作っているスタッフの撮った映像という事になっており、他のモキュメンタリー作品に比べても割と映像も見やすくキチンとお金がかかって作られているような印象の作品です。

 主人公の母親が『悪魔憑き』になったせいで精神病院に収容されており、その真偽を確かめるために『悪魔祓い』を調査するという、ミステリ仕立てのなかなか凝った設定になっているのも特徴と言えるでしょう。

 内容も、ローマに訪れてエクソシストの学校を訪れたり、聖職者や精神科医にインタビューをしたり、悪魔憑きと精神障害の違いに関して議論したりと、ホントにドキュメンタリーのフィルムを見ているような感じで、お話の構成に非常にリアリティが感じられるのは面白いです。
 (どの程度まで現実の『悪魔祓い』の姿に即しているのかは謎ですけど…)

 ドキュメンタリー的な要素だけではなく、『悪魔祓いの儀式』に参加したりするシーンもあって序盤~中盤の盛り上げ方はなかなか上手いのですが…

 中盤辺りの『オカルト要素』が濃く絡んでくるようになってからの展開が、どうにもイマイチ。

 母親に再び悪魔祓いの儀式を施す辺りの展開までは盛り上がるのですが、その後の展開がグテグテで、中盤までのノリで『リアリティを重視して怖がらせたい』のか、『作り物という事を割り切った上でオカルトとして楽しませたい』のかが分かり辛くて、どっち付かずな印象で盛り上がりに欠けます。

 展開も遅くて妙に冗長な感じですし、ラストの中途半端な投げっぱなしっぷりも『なんだかなぁ…』といった感じで、観終わった後に『怖さが余韻を引く』というよりも単純に『モヤモヤした感じ』になってしまいますし…

 中盤までの流れは面白いので、終盤~ラストがもう少しシッカリと作られていればなかなか良い映画になったと思うんですけどねぇ。


 総評としましては、凝った設定やら構成やらの面白い部分もあるのですが、全体を通して見るとどうにも『物足りなさの残るオカルト映画』って感じでしょうか?

 まあB級のモキュメンタリー映画としては、それなりに良く出来ている作品だとは思いますので、『悪魔祓い』ものとかが大好きならばチェックしてみても良いかもしれません。

 ただ最近の作品では、同ジャンルで「ザ・ライト エクソシストの真実」辺りが非常に良く出来ていたせいもあって、そちらと見比べるとどうしても見劣りしてしまう感じなので、未見ならそちらの作品の方がオススメかな?

 本作は本作で悪くない部分も多いので、どうにも勿体無さを感じる作品でしたよ。