NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「テイク・シェルター」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「テイク・シェルター」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 町はずれの工事現場で働くカーティスは、聴覚に障害を持つ娘を持ちながらも、妻と共に平凡ながらも幸せな生活を送っていた。

 しかしある日を境に、毎晩のように『町が異様な嵐と竜巻に襲われる』という悪夢にうなされるようになった彼は、しだいにその嵐が実際に訪れるのではないかというパラノイアに取りつかれるようになってしまう。

 やがて彼は家族を守るために、財産を費やして地下の『シェルター(避難壕)』を作ることに異常なまでに執着するようになっていくが…



 『巨大な嵐』が来ると言う妄想に囚われた一人の男がたどる運命を描いた、サイコサスペンス映画。

 基本的には『妄執に取り憑かれた一人の男』が精神的に追い詰められていく姿を描いたサスペンスといった感じなのですが、まあとにかく恐ろしく不気味で薄気味の悪い映画ですね。

 系列的にはいわゆる『雰囲気映画』に属する感じの映画で、本編を通して終始『異様な雰囲気』を感じさせるような空気が漂っており、主人公ならずとも観ているだけでどんどん不安な気持ちになっていくような作品です。

 お話の流れとしては、主人公がある日から見だした『巨大な嵐が訪れる』という悪夢が原因で、徐々に精神を病んでいくといった感じの展開なのですが、何が不気味ってこの主人公の見る『悪夢』の内容がどうにも気持ち悪い…

 内容的には『巨大な嵐が訪れる』という悪夢なのですが、この嵐が普通の嵐じゃなくて、竜巻の最中に唐突に飼い犬に襲われたり、正体不明の男たちに娘をさらわれたり、変な色の雨を浴びて頭がおかしくなった同僚にツルハシで襲いかかられたりと…『そりゃ毎日こんな悪夢を見てたらノイローゼにもなるわ』って感じの異様な内容。

 最初から『神経質そうな主人公』が更に精神を病んで憔悴していく様子も、観ていてうなじの辺りがチリチリするような妙な緊迫感がありますし、『主人公の母親が実は…』というような一筋縄では行かないような設定があったりする辺りも、サスペンスとしてはなかなか面白いですね。

 ただ、いかに『不気味な雰囲気』と『緊張感』があると言っても、基本は『主人公が精神的に追い詰められていく』という様子を描いているだけですので、流石に中盤辺りの展開はちょっと冗長でダルい印象を受けてしまうのは辛い部分ではありますね。

 全体的に長回しの演出が多いせいもありますが、本編が120分と尺が長めなので途中で『緊張するシーンの連続で観てて疲れてしまう』部分があるのは人を選ぶかも?

 でも、物凄く不気味で後を引くようなオチの付け方なんかも非常に上手いですし、色んな意味でゾッとさせられるような映画でなかなか良かったですよ。


 総評としましては、あまり派手さは無いような作品ながらも、ちょっとカルト映画的な風味の効いた『佳作レベルのサイコサスペンス映画』だと思います。

 不気味な雰囲気がひたすら漂うタイプの『雰囲気映画』が好きな人や、『精神的に追い詰められるタイプ』のサイコサスペンス映画が好きな人ならばオススメできる作品だと思います。

 ファンタスティックの映画祭とかで高評価されるタイプの理不尽で異様な感じのサスペンス映画としては久々の良作といった感じですので、その手の作品が好きならばとりあえず観ておいて損は無い一本でしょう。