NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「遊星からの物体X ファーストコンタクト」を観てまいりました。

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 1980年代の南極大陸
 雪原で正体不明の電波が発信されている事をノルウェーの観測隊は、その現場で深い氷の中に埋もれた宇宙船のようなものを発見し、更にその側で氷付けになった『謎の生物』の死体を発見する。

''' コロンビア大学の古生物学者のケイトは、凍結した生物の調査の専門家としてノルウェーの観測基地へと呼ばれるが、氷付けの生物の死体を調査中に生物が『氷の棺』を突き破って逃走し、
観測員の1人を襲って食い殺してしまうという異常事態に遭遇する。'''

 生物はなんとか他の観測員達によって焼き殺されるが、生物の死体を調査したケイトは、その生物が『襲った生物の細胞を取り込んで他の生物に擬態する』という恐るべき能力を持った怪物だという事を発見。
 自分たちの仲間が、既に怪物と入れ替わっているのではないかと疑いを抱くが…

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 劇場にて「遊星からの物体X ファーストコンタクト」を観てまいりました。

 タイトルを観て分かるとおりに、お話としてはJ・カーペンター監督の傑作モンスターホラーである「遊星からの物体X」の前日譚に当たる作品で、最近流行りの「遊星からの物体X ゼロ」みたいな感じのお話ですね。

 いままで『類似的なフォロワー作品』は散々作られてても、続編は未だに作られていなかった本作の初の正式な続編(まあ過去の話ですが)という事ですが…
 (一応、ゲーム版で『映画の後日談』が作られてますが、流石にアレはノーカウントで…いやゲームそのものは割と面白かったですよ。)

 ぶっちゃけ、今回は撮ってるのがカーペンター監督じゃないですし内容も殆ど期待してなかったのですが、意外にも予想よりも良く出来た『続編として十分に鑑賞に堪えるレベルの作品』でしたよ。


 お話としてはノルウェーの南極調査隊がエイリアンの死骸を見つけるんだけど、そのエイリアンが実は生きていて…』という、オリジナルを知っていれば『ネタバレにもならないレベル』で予想通りのストーリー展開。

 驚くほどお話の展開が早いのが特徴で、序盤の発見~怪物が暴れだすまでの流れ(15分ぐらい)は『ダイジェスト版でも見せられてるんじゃないか?』と思うぐらいに、余分な要素の全く無いような急展開。

 まあ観客はほぼ確実にオリジナル版を観てるでしょうから、『ネタばらし』を最初から知ってるのが前提でそういう『無駄な前振り』を全てはしょって、いきなり『最初にババーンと怪物を登場させてからサスペンスへと展開していく』って作りは、なかなかに上手い見せ方だと思いましたよ。

 ただ、あまりに展開が早すぎて『キャラクターが描きこまれる余地が全く無い』ので、主人公を含めて登場人物が薄っぺらに感じる部分があったのは痛し痒しといった感じですね。(ぶっちゃけ、主人公以外のキャラは全く印象に残ってません…)

 今回は怪物の知能がかなり高く描かれておりサスペンス要素がかなり強めなのは面白い部分なのですが、前述のような理由で肝心の人間のキャラクターが影が薄くて、いまひとつサスペンスドラマに入り込めない部分があるのは残念なところです。

 ちなみにオリジナル版で度肝を抜いた怪物の特撮は、今回はCGとパペット(模型)で行われているのですが、怪物がCGになったおかげで、変身がより変幻自在で動きも俊敏になったのは良い点かも?

 またCGになったお陰で『出し惜しみ無く画面に出てくる』ので、単純なキモさではパワーアップした印象。
 ただ、オリジナル版を観たときに受けた『訳の分からない変身っぷり』の衝撃に比べると、センスの問題なのか何なのか、やっぱ怪物の衝撃度が弱いんですよね。
 (まあ観客の方が、この手の『同化・変身する怪物』の姿に慣れてしまったってのはあるのでしょうが…)

 ただこの手の映像って、いくらキレイになってもCGだと『ナマモノっぽさ』が感じられなくて、特に人間との絡みのシーンでは迫力に欠けるんですよね。
 予算や手間の関係で難しいのかもしれませんが、やっぱこの手の『怪物の人間との絡みのシーン』とかはある程度はパペットとかを使って撮って欲しい…

 お話の展開に関しては、まあ良い意味でも悪い意味でも『観客を裏切らない内容』ですね。

 『変幻自在のキモい怪物』という派手な要素を見せつつも、『サスペンス的な要素』を絡めてストーリーを展開していくという感じで、中盤以降も全くダレること無くテンポ良くお話が進んでいくのは良い感じ。

 でも、ちょっとオリジナル版のストーリーのアウトラインをなぞりすぎな雰囲気もあって、目新しさや意外性が無さ過ぎるのは難点かなぁ…
 (そもそも、前日譚なので『約束されたオチ』に向かって話が進んでいくだけですしね…)

 ストーリー展開や演出にキチンと「物体X」らしさがあり、オリジナルへのオマージュがあちこちに感じられるのはなかなか良かったです。
 (ラストシーンの怪物のデザインが『ブレアモンスター』まんまなのには、ちょっとニヤリとさせられました。)

 ただ、映像とかの進化している部分はあるものの、全体的に『オリジナル版ほどのインパクトのあるシーン』が無かったのは残念なところかなぁ?
 オリジナル版は『心臓マッサージ』とか『血液検査』のシーンとか、未だにトラウマになるぐらい衝撃的でしたので…
 (アレのせいで一時期は映画で『心臓マッサージ』のシーンがある度に、無駄に身構えてしまうようになってました。(笑))

 あと終盤の主人公たちがある場所へと向かう展開は、意外と言えば意外だったけどちょっと蛇足だったかも?


 総評としましては、不満点も少なからずあるものの単純に『良く出来た佳作レベルのモンスターホラー映画』だと思います。

 オリジナル版ほどの『完成度』や『インパクト』を期待してると肩透かしを食らわされるかもしれませんが、そういった過剰な期待や贔屓(ひいき)目を抜きにしても、そこそこ楽しめる作品だと言えるでしょう。

 『モンスター映画が好きな人』や『オリジナル版が好きだった人』ならば割と楽しめる作品だと思いますので、気になっているのであれば劇場でチェックしておいても損は無いと思いますよ。
 (「物体X」のヒット後に、雨後のタケノコのように作られた『類似作品』に比べると全然キチンとした内容ですので…)