■■■「ラスト4」■■■
(50点/モンスター)
アメリカのモンゴメリー郡の郊外で化学工場が爆発。
まき散らされた有害な化学物質を吸引した人間が、次々と凶暴化しゾンビのようになってしまうという異常事態が発生する。
米軍はモンゴメリー群の全体を隔離区域とし、生き残った人間の救助を開始。
事件発生の当初、車で脱出しようとしたジムは婚約者のエミリーに重傷を負わせてしまった事から、とりあえず近くの牧場へと非難するが、婚約者が命を落としてしまい途方に暮れていたところを、同じように牧場の別の建物に立てこもっていたスコットらの3人の男女と合流。
生存者の4人は、なんとかして感染者から逃れながら軍の救助を待とうとするが、感染者と健康な人間の区別が付かないという混乱のせいから救助活動はなかなか行われず…
化学工場の爆発で凶暴なゾンビ化した人間が大量発生した街から脱出できずに『取り残された4人の男女』のサバイバルを描いた、モンスターホラー映画。
最近では少なくなった、いわゆる『化学物質汚染タイプ』のゾンビ映画です。
設定としては、拡散したのが『神経ガス』で『ガスを吸った人間が神経を冒されて凶暴化する』という感じの設定ですね。
本作のゾンビは、どちらかというと「28日後....」のゾンビの設定に近い感じで、ゾンビのクセに物凄く元気なタイプ。
まあ、別に死んでる訳じゃなくて『健康な人が神経ガスの影響で頭がおかしくなってるだけ』なので、体力が有り余ってるのは不自然じゃ無いかも?
お話としては、基本的には『たまたま神経ガスの影響を受けずに生き残った4人の男女が牧場に立てこもって救助を待つ』という、ただそれだけの内容。
主人公達は基本的には『感染者から立てこもっているだけ』で何をする訳でもなく、感染者も『人間を見つけるまではボーッと突っ立ってるだけ』で積極的に襲撃をかけてくる訳でもなく、牧場のあるのが僻地なので感染者も近所に殆ど居ないため、ホントに話が全く展開しません。
まあ立てこもっているだけじゃ流石に映画として成立しないので、要所で『主人公が牧場に到着するまでのエピソード』が語られたり、主人公達の過去が語られたりしてお話が盛り上がるようにはなってるんですが…
ソレに関しても『ゾンビと戦うシーン』で盛り上がる訳では無く、ドラマとしてお話に深みを出そうという方向で盛り上げている印象で、お話の全体的なイメージとしてはゾンビ映画というよりも『隔離された環境での人間ドラマ』と廃退的な破滅後の世界を描いた『雰囲気映画』の要素がメインといった感じですね。
一応、終盤にとある事情から、牧場の外に『救援物資』を取りに行かなければならなくなるシーンがあったり、牧場内に感染者が侵入してくるシーンがあったりと、盛り上がるシーンも若干あるのですが、そこまで話が進むまでに60分ぐらいかかっているので、まあ基本的に物凄く地味な内容です。
本編を通して主人公たちが戦う感染者の合計数が『7~8人』だと言えば、どのぐらい地味な内容なのかが、なんとなく想像できるかも…
予告やパッケージを見る限りでは、いかにもバトルアクションもののサバイバルホラーって感じの印象だったので、ちょっと詐欺に近いものを感じるレベルでした。(笑)
まあ不満はありつつも、素直に雰囲気映画として観るにはそこまで悪い出来ではないですし、4人のキャラクターが良く描き込まれているので、テンポは遅いけどドラマとしては楽しめないレベルでも無かったので、そこまで憤慨するような映画では無かったですけどね。
『ゾンビ映画とは思えないぐらいの異様に爽やかなハッピーエンド』も何となく印象的で、その辺はある意味で興味深かったです。
(確かに『住民が化学物質でゾンビになっただけ』なら、感染拡大も無いので脱出しちゃえば何の問題も不安要素も無いですもんね…)
総評としましては、ゾンビ映画としては物凄く地味で盛り上がりに欠ける印象ですが、雰囲気映画が人間ドラマを主体で観るならば、まあ『そこそこ観れないレベルではないかな?』って感じのホラー映画ですね。
とにかく地味で淡々とした内容なので、普通にアクションホラー的なノリを期待して見た場合は、思いっきり肩透かしを食らっちゃうかも?
(正直、序盤は『間違えて違う映画を再生してるんじゃないか?』と、少しだけ不安になったぐらいのレベル(笑))
まあ地味で見所も少ない作品なので、一般的な『ゾンビ映画が好きな人にプッシュするような要素』もあまり無いですが、総じて悪い映画では無かったので興味があるなら『気が向いたらチェックしてみる』程度で丁度良いぐらいの作品だと思いますよ。