NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「操り人間」(45点/サスペンス)

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■■■「操り人間」■■■
(45点/サスペンス)

 聴覚に障害を持つ美術教師のリリーは、唯一の肉親である妹のミシェルを交通事故で亡くして、そのショックから立ち直るためにフロリダ郊外のカサダガという田舎町へと引っ越して、新しい生活を始める事となる。

 母の知人で地元の名士であるアンダーソン氏の口利きで、奨学生として大学に通いつつ教師をする事となった彼女は、ある日、知人と交霊会に参加した事から惨殺された女性の怨霊に取り憑かれる事となってしまう。

 彼女は怨霊の見せるフラッシュバックのようなイメージから、この町のどこかで異常な殺人事件が行われているのではないかと考え、怨霊を成仏させるために調査を開始するが…



 殺人事件の被害者の怨霊に取り憑かれた女性が、生きた人間の四肢を切断し『操り人間』にしてしまうという恐るべき猟奇殺人鬼と対決するという、オカルト風味のサイコサスペンス映画。

 映画のタイトルにもなっているとおり、生きたままで切断した人間の手足を金具で繋いで、紐でぶら下げて『操り人間』を作ってしまうという猟奇殺人鬼がテーマになっているのですが、設定のインパクトの割には内容の方は意外と地味な映画ですねぇ…

 設定だけ聞くと、いかにもサイコキラーものとかスラッシャーホラー的なイメージを受けますが、どっちかというか『怨霊に取り憑かれた女性が事件を追っていく』というのがメインの、オカルトサスペンスのノリが強い作品です。

 殺人鬼の嗜好である『操り人間を作る』ってのが、設定としては物凄いインパクトがあるのですが、実際に映像としてみると意外と地味な印象。

 殺人鬼が『操り人間』にこだわる理由も良く分かりませんし、せっかく『操り人間』を作っても徹底的にいたぶる訳でもなく少し遊んだ後にスグに殺してしまうので、あまり歪んだ狂気のようなものが感じられないんですよね。

 ビジュアル的にも『単に手足を紐でぶら下げられた人間が二人羽織っぽく動かされてるだけ』にしか見えないですし、もうちょっと見せ方や演出に工夫が欲しかったところです。

 そもそも、この『操り人間』のフィーチャーが本編全体の中で占める割合が小さすぎて、印象に全く残らないのも問題かなぁ?

 ヒロインが交霊会で『惨殺された女性の怨霊』に取り憑かれた事から事件を追っていくという展開なのですが、ヒロインの過去にまつわる人間ドラマが描かれたり、ラブロマンス的なものが描かれたりと脇道のお話が多すぎ。

 確かにキャラクターは深く描かれてはいるのですが、お話もなかなか前に進まないですし、どうにもテンポの悪さが目に付きます。

 サスペンス要素にしても、事件の真犯人に対するミスリードとかが仕込まれていたり凝った事をしようとしてるのは分かるのですが…
 『ミスリードで提示される犯人』も『真犯人』も、どちらもストーリーに深くかかわってこない人物なので、ぶっちゃけ『別にどっちが真犯人でも大勢に影響は無いだろ?』って感じで、意外性にも何にもなってないのはご愛嬌といったところ。

 他にも『猟奇殺人』以外に『交霊会』とか居候先の『開かずの扉』とかヒロインの過去のトラウマとか、とにかく色んな要素を詰め込もうとしてるのは分かるのですが、どうにも『欲張って色々と詰め込もうとし過ぎ』で全体的に非常に散漫な印象の映画になっちゃってるんですよね。

 せっかく『操り人間』というインパクトのある設定を作ってるんだから、もっとそちらを前面に押し出して、狂気を感じさせるような作りにした方が良かったのでは…

 特に、ヒロインの『耳が不自由な設定』とか全くストーリーに活かされても無いですし、ロマンス的な要素も本編に殆ど関わってこないですし、ラストのスタッフロールの後のシーンも蛇足っぽいですし、どうにも120分弱という長い尺の割りに、長い無駄な要素が多すぎてダレた印象を受ける映画でしたよ…


 総評としましては、そこまで酷い内容では無いのですが全体的に冗長で見所に欠けるという、なんとも『印象に残らない作品』でした。

 ツマんない訳でも無いんですが、ドラマとしてもホラーとして見せ場に乏しくて何を描きたいのかが良く分からなくなってしまっているのが難点かなぁ…
 タイトルや設定のインパクトに惹かれて観ると、ちょっと肩透かしを食らっちゃうかも?

 正直あまりプッシュするほどの映画でも無いですが、まあサスペンスとしてはそれなりに観れるレベルの作品ではあるので、どうしても気になっているようならチェックしてみても良いんじゃ無いでしょうか?
 個人的には『TVとかで放映された時にでも観れば十分かな?』って感じの作品ではありましたけどね…