NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ブレーキ」(50点/サスペンス)

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■■■「ブレーキ」■■■
(50点/サスペンス)

 ニューヨークに住むジェレミーは、ある日、目を覚ますと、何者かに拉致されて自分が棺桶のような『狭い透明の箱』の中に閉じ込められている事に気付く。

 目の前には『4分』から、不気味に数字をカウントダウンするデジタル時計のようなものが表示されており、タイマーのカウントが0になる度に何らかの仕組まれた『イベント』が起こるようになっている事を知る。

 最初は友人の悪ふざけだと考えるが、棺桶の中にあった無線機から『自分と同じような境遇』で別の棺に閉じ込められている人間が要る事を知った彼は、自分がなんらかの犯罪に巻き込まれたのでは無いかと考え、何とかして原因と犯人の目的を突き止め、今の状況から脱出しようとするが…



 拉致されて『棺桶型の透明の箱』に閉じ込められた一人の男の辿る運命を描いた、監禁型のサスペンス映画。

 いわゆる、少し前から流行っている低予算のシチュエーションスリラー型サスペンス映画ですね。

 同じようなコンセプトの作品で少し前に「LIMIT」って映画がありましたが、4分おきに『なんらかのイベント』が発生して『少しづつ謎が解き明かされていく』という構成は、舞台が固定で冗長になりがちなシチュエーションスリラーで視聴者を退屈させない為の上手い仕掛けかと思います。

 ただ、実際には途中でカウントダウンが止まったりカウントが30分になったりして、そこまでスピーディな展開でも無いので、ちょっとハッタリっぽい設定ではありましたが…

 この手のシチュエーションスリラーのパターンとしては、割とお話の終盤まで『犯人の動機が分からない』もしくは『犯人が顔を出さない』って作品が多いのですが、本作は割と序盤から『主人公が何らかの秘密を握っている』という前提が提示されて、犯人の目的も明確になるためストーリーは意外とシッカリとしてる印象。

 逆に、この手の作品のウリとなる事が多い『神秘性』や『不気味さ』というものが感じられないため、そういうタイプの作品を期待して観た人はちょっと肩透かしを食らっちゃうかも?

 お話のノリとしては、舞台が『透明な棺桶の中』に固定なので当然ながら会話劇が中心。

 この『棺桶』が実は『車のトランク』に積まれているという設定で、動的に主人公の居場所が移動していくため、自分の居場所を特定しようとしたり、車が警察に見つかって止められたり、犯人が嫌がらせに棺桶の中にハチが送り込まれたりと、そこそこ凝ったシチュエーションが準備されてて退屈し難いように工夫はされているのですが、流石に同じ場面の会話劇だけが60分ぐらい続くとダレできます。

 尺も無駄に90分もあるのですが、このシチュエーションならば70分強ぐらいでコンパクトにお話をまとめた方がテンポも良くて良かったんじゃないかなぁ?

 あと、ちょっとネタバレになってしまいますが、本作は主人公が『国家の安全の危機』に関わる重大な情報を握っていて『テロリストに脅迫されている』という設定なのですが、ぶっちゃけ派手な設定なのに逆に安っぽさを感じてしまうのは困りもの。
 (というか、国家の危機を『会話劇』だけで表現しようというのは流石に無理があるんじゃないかと…)

 またテロリストたちが、あの手この手を巡らせて主人公から『情報』を聞き出そうとするのですが、相手が国家の転覆を狙うような『巨大なテロ組織』だったとしたら、相手に『情報』を渡したところで解放されずに後で殺されるのが目に見えているので、脅迫のシチュエーション自体に無理がある気がします。

 ラストのオチも、無理が有りすぎなうえに妙に安っぽくて『何じゃそりゃ』って感じですし、ぶっちゃけこのストーリーと設定なら『シチュエーションスリラーにする意味ってあんまり無かったよなぁ…』って感じたのは自分だけですかね?
 (少なくとも、別に『透明な棺桶に監禁する必要性』は全く無いよね…)


 総評としましては、サスペンス映画のお話としてはそこそこ良くできてる気がするんだけど、シチュエーションスリラーとしてみると『うーん、何か違うかも?』となってしまう感じで、ちょっとモヤモヤとした微妙な印象を抱いてしまうような作品ですね。

 いわゆる、シチュエーションスリラーに独特の神秘性や『雰囲気映画』的な側面が少なくて、お話の全体的に『安っぽさ』が鼻についてしまうのが難点かなぁ?
 そういうジャンルの作品が好きな人には、逆にウケが悪そうな感じの映画でした。

 まあ、ツマんない映画では無いですが強く推すほどの作品でも無いですので、気になっているのであれば観てみるのもやぶさかでは無いと思いますが『お好みでどうぞ』って感じの一本だと思いますよ。