NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「ハンガーゲーム」を観てまいりました。

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 近未来の巨大独裁国家ネム
 一部の富裕層によって支配され『労働者の住む12の地区』で構成されるこの国では、1年に一度『各地区から少年・少女を一人づつ計24名をランダムで選抜し、最後の一人になるまで戦わせてその優勝者に莫大な賞金を与える』という、
「ハンガーゲーム」というイベントが開催されていた。

 このゲームへの参加は労働者層へは義務付けられており、被支配者への『恐怖政治の見せしめ』且つ『一攫千金の希望』というガス抜き目的であり、富裕層にとっては大人気の娯楽番組として楽しまれているものだった。

 第74回の「ハンガーゲーム」の参加者の抽選が行われるある日、カットニスは幼い妹と共に抽選会場へと赴くが、不運な事に彼女の妹がハンガーゲームの競技者として抽選で選ばれてしまう。

 カットニスは妹を救うために、とっさに『自分がハンガーゲームに身代わりとして参加する』という意思表明を行い、生存確率1/24のバトルロワイアルへと身を投じる事となるが…

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 『国民から24人の少年少女をランダムで選抜しバトルフィールドで最後の一人になるまで戦わせる』という、近未来の独裁国家で行われる命がけのバトルロワイアルを描いたサバイバルアクション映画。

 なんか映画ファンならずとも『どこかの聞いたような設定』のお話ですが、それもその筈でこの「ハンガーゲーム」という原作小説が日本でも映画化されたバトルロワイアル」の原作にインスパイアされて書かれた作品だそうで、ぶっちゃけて言うとアメリカ版「バトルロワイアル」みたいなお話ですね。

 といっても『少年少女たちが殺しあう』という設定以外はあまり共通点は無くて、実際には『全く別の話』といって良いぐらいテイストの違うお話ですし、たとえ元が二番煎じだったとしてもシッカリと『完全に別のベクトルの作品』として仕上がっているのは良い感じだと言えるでしょう。

 方向性に関しては「バトルロワイアル」がかなりブラックなノリのお話だったのに対して、こちらは良い意味でも悪い意味でも非常にエンターテイメント寄りの内容ですね。

 作中でも『少年・少女たちの戦いがショービジネスとして演出されている』という設定で、参加者は選抜後にキチンと数週間の訓練期間を経てから戦場に送り込まれるという設定や、訓練期間やインタビューもキチンとショーとして放映されて『視聴者の高い支持を得られれば戦いを有利に進められる』という設定は、いかにも『アメリカのサバイバルTVショー』みたいなノリで、なかなか面白いと思いました。

 またこの『訓練期間』を作中で描く事で、登場人物のキャラクターや人間関係が上手く掘り下げられており、ただ単に『若者たちがバトルするだけの映画』になってしまっていないのは非常に上手い作りだと言えるでしょう。

 メインの登場キャラクターが良く描き込まれている事から『ドラマ部分』が厚みのある感じでシッカリと作られており、戦闘していないシーンでもお話が全くダレること無く展開していくのはなかなかに良い感じ。

 ただ原作は恐らく結構長いお話なんだろうと思うのですが、随所に『ちょっと説明不足かな?』と感じられる部分があり、特に細かい世界背景の設定に関する部分が不明瞭だったり、先述の『視聴者の高い支持を得られれば戦いを有利に進められる』という設定やらが本編の中で全く活かされるシーンが無かったのは、ちょっと気になった部分かな?

 あと戦いが始まるまでの時間の尺がかなり長くて、実際のバトルロワイアルのシーンはそこまでボリュームが無いのもちょっと期待外れだったかも?
 参加者が24人も居る割には殆どのメンバーが『いつの間にか死んでました』みたいな展開で、主人公がサバイバルしてる感覚が薄いのは残念なところかなぁ…

 アクションシーンに関しては、特に主人公の敵役のキャラとか存在感が薄すぎて『あんた誰だっけ?』みたいな感じになってしまってたのは難点かも?
 派手なバトルシーンも意外と少なくて若干盛り上がりに欠ける感があったので、もうちょっと派手なバトルシーンを見せるなりして敵役の存在感を持たせても良かったのでは…

 あとネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、最後の方は『参加者どうしの血みどろの対決』ではなくて『運営側との戦い』みたいなノリになってしまうのは、ちょっと安易と言えば安易な展開すぎるかなぁ?
 (まあ序盤から、そういうノリになるのは読める設定ですけど…)

 ラストの展開も上手い落としどころではあるんだけど、もうちょっと『捻りの効いたオチ』があっても良かった気はしますよ。


 総評としましては、ぶっちゃけあんまり期待していなかったのですが、なかなかどうしてお話自体も面白くて『非常に良く出来たアクション映画』でした。
 コレは確かに『海外で人気が出てるのも納得』な感じ…日本じゃあまり話題になって無いっぽいですが、もっと評価されても良い作品だと思います。

 若干の掘り下げの甘さを感じる部分や不満点もありますが普通に面白い作品でしたし、『「バトルロワイアル」の設定を海外で描くとこういうノリになるんだ』って意味でも、なかなか興味深い内容でした。

 設定やらネタとして気になっているのであれば、とりあえず劇場まで観に行っておいても損は無い作品だと思いますよ。