NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「猛獣WARS」(10点/パニック)

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■■■「猛獣WARS」■■■
(10点/パニック)

 ピザ屋で働くウルフは友人のジェイクと共に、町外れの森の中にある山小屋でパーティを行っている若者たちの所へとピザを届ける事となる。

 パーティ会場にウルフの幼馴染であるサマンサとジェイクの妹が居た事から、パーティへと参加する事となった彼らだが、パーティの翌朝に森の中で小鹿を見つけた事から、仲間の一人が小鹿に手を差し伸べようとしたところ『小鹿に手を食いちぎられる』という異常な事件が発生。

 更に大量の鹿に小屋を包囲されている事に気付いた彼らは、小屋に立てこもって襲撃を逃れようとするも、多くの仲間が鹿に襲われて命を落としてしまう。

 なんとか生き延びたウルフらの4人は、小屋から脱出して町へ向かう途中にラジオのニュースで、世界中の各地で『ありとあらゆる動物が唐突に人間に襲いかかる』という異常事態が発生している事を知り、サマンサの知人の居る町外れの農家へと避難する事となるが…



 ペットの犬や猫、その他のありとあらゆる動物が唐突に人間を襲うようになるという、アニマルパニックホラー映画。

 パッケージやタイトル、予告編からZ級のバカ映画だというのは覚悟完了してから鑑賞したのですが、完了していた覚悟の分を差し引いてもコレまた酷い映画ですな。

 まさに絵に描いたような『超低予算映画』という感じで、『酷い』、『ショボい』、『グテグテ』と3拍子揃ったような作品です。

 まず、『ありとあらゆる動物が人間を襲う』というのがウリの筈なのに、襲撃シーンが意外と少ない。

 本編の殆どのシーンは、主人公たちがダラダラとしているか車で移動しているだけでとにかく見せ場がありません。

 主人公達の旅をする場面がストーリーの多くを占める割には、別にロードムービー的なノリの話という訳でもなく基本的に『ダラダラと時間が経過しているだけ』という印象で、とにかく全編を通して冗長でダレ気味。

 主人公達の行動にもそこまで一貫性が無くて、なんとなく『ダラダラと状況に流されてる』という感じなので盛り上がらないですし、当然ながら『動物たちが人間を襲うようになった理由』なんてものは描かれてもないので特にコレといったオチも無し。

 作品にテーマ性というような物も感じられないですし、ストーリーはホントに有って無いも同然です。

 特撮の方も恐ろしいぐらいショボくて、どう見ても『ぬいぐるみ』(パペットですらなく本当の『ぬいぐるみ』)にしか見えないネコやウサギが襲いかかってきたり(というか自分で持ってるだけ)、15年ぐらい前の低予算映画並みの物凄くショボいCGのクマが襲い掛かってきたりと、ショボすぎて逆に笑いが取れるようなレベル。

 襲撃シーンも、人間が画面外で襲われてその方向から『登場人物に血がぶっかけられる』だけという、いわゆるイメージ映像的な感じですし、だいたい馬やシカや大型犬は『襲われたら怖い』というのは分かるんですが、別にリスやウサギが殺る気まんまんで襲い掛かってきても特に怖く無いだろ!!(笑)
 っていうか、殺人ウサギって「モンティパイソン」かよ!!

 また、お話の流れとして『動物園から脱走した』とかって伏線も無く唐突に主人公たちがゴリラや巨大ワニに襲われたりする超展開もあったりするので、何となく『イキオイだけで作ってみた』って感じの作品っぽいんだけど、あまりに低予算すぎてそのイキオイすら維持できなかった作品という感じなのかなぁ?

 それならそれでとことん不条理でナンセンスな展開にして、もっと『笑いを取るような方向』に振り切れてれば、そこそこ楽しめる作品になったんじゃないかとも思うんですけどね…

 あと一番納得がいかなかったのは、70分の尺の映画なのにエンディングのスタッフロールが10分ぐらいあるという謎すぎる構成。
 エンディングの『動物たちが襲ってくる~♪』みたいな良く分からないフォークソングを、そんなにジックリと聞いて欲しかったのかと…


 総評としましては、なんと言うかまあ純粋に『酷い出来の超低予算映画』って感じの作品ですね。

 いわゆるZ級にカテゴリされるような作品なんですが、笑いを取れるようなネタ映画や突き抜けた個性が感じられるようなレベルまで達していないのが、なんとも残念な感じ…
 ここまでアホな設定なんだから、もうちょっとアホな方向に突き抜けて作られてれば『ショボいなりに楽しめる映画』になったと思うんですけどね。

 最初からZ級映画が狙いで観るのであれば止める事はしませんが、『あまりオススメはしません』ってのが正直なところかなぁ?
 まあそういう方向性の作品が好きで、『ネタ映画』として気になっているのであれば試しに観てみても良いんじゃないでしょうか…