■■■「ニンジャ VS ゾンビ(NINJA VS ZOMBIE)」■■■
(40点/アクション)
オタクの青年であるランダルは、亡くなった兄であるエリックを蘇らせるために父の残した魔術書を用いて復活の魔術を試みる。
一見、失敗したかに見えた魔術は意外にも成功しており、魔術によって蘇ったエリックは『他の人間の生命エネルギーを吸い取る事でゾンビ化する』という超能力を身に着けている事を知った彼は、ゾンビ軍団を作り出して町を支配しようと試みる。
兄が邪悪な存在として蘇ってしまった事をしったランダルは、魔術書によって『闇の使者』の力を召喚。
友人たちに『ニンジャ』の力を与える事で兄の作り出したゾンビ軍団に対抗し、兄を打倒しようとするが…
魔術書によって蘇ったゾンビ軍団と『ニンジャ』の力を得た若者たちが戦うという、アクション風味のモンスターパニック映画。
もう、タイトルからしてB級を通り越して底辺の『Z級映画』の香りがプンプンするような作品ですが、内容の方もまさに超低予算の『監督の趣味だけで作られたようなレベル』のゾンビ映画です。
特にコレといった理由も無く超パワーに目覚めた主人公たちが、悪の超パワーに目覚めた友人の作り出したゾンビ軍団と戦うという、まるで中二病の学生が書いたようなコテコテの脚本。
『白塗りして血のりを付けただけ』のゾンビとか、『断面に色を塗ったマネキンっぽい手足がバラバラになるだけ』の残酷シーンとか、もう『コレでもか!!』というぐらいの低予算っぷりの作品で、こんなもんを商品としてリリースするとかメーカーの正気を疑うようなレベルの内容。
スタッフも出演者と名前が被りまくっており、ホントに『自主制作のレベルで内輪で製作したんだなぁ…』って言うのが良く分かります。
ただ低予算だから全くツマんないかと言うとそうでもなくて、『監督やスタッフが楽しんで作ってるんだろうなぁ』というのが感じられるのは好印象。
ストーリーも中二病的な展開が満載ながらも、作品のテンポは良く(まあご都合主義で話を無理矢理進めるのでテンポが良いのは当たり前なんですが(笑))あまり退屈しない作りになってますし、登場人物のキャラクターなんかも良く描かれており好感が持てる作りになっているので、しょうもない内容ながらもついつい見入ってしまいます。
特撮なんかはショボいですが、アクションシーンとかは実際にカンフーなりをやってるっぽい『スタント出来るスタッフ』がキチンとこなしており、迫力があるという程では無いものの派手で楽しいレベルになっているのは良くツボを押さえてる感じ。
ただ、登場人物のキャラや人間関係をシッカリと描きたいのは分かるのですが、ストーリーの幕間に挿入される『キャラどうしの掛け合いのシーン』が無駄に長かったり、ニンジャパワーに目覚めてからも『全員分の覚醒シーン』を見せられたりと、ところどころで『自分の描きたいもの』に注力するあまりバランス感を失っている印象も受けます。
また、派手なアクションシーンを長く見せたいのは良く分かるんだけど、ホントに無駄に尺が長いだけのアクションシーンが多いので、逆にテンポが悪くなって本末転倒になってしまっている場面が多いのは困りものかも?
あと、TMNTを意識してるっぽいシーンやパロディっぽいシーンも散見されるのですが、パロディや笑いどころが分かり辛くて今ひとつ笑えなくなっているような部分も目に付いたので、この辺はもうちょっと分かりやすいネタを仕込んでも良かったんじゃないかと…
総評としましては、物凄く低予算でいかにもZ級という感じのタイトルですが、全体的にそこそこ観れなくは無いレベルなので『良く出来た自主制作映画』みたいなノリで観るならば割と楽しめる作品ですね。
正直、荒削りな部分はメチャクチャ多いですけど、『作品の持つイキオイ』やら『スタッフの心意気』やら観るべき部分も少なからずある作品ですので、キチンと予算をかけて磨けば光るものを持ってそうな映画ではないかと…
中二病的な内容だけあってツッコミどころも満載ですし『ネタ映画』と割り切って観る分にはなかなか良い作品だと思いますので、その手のネタを求めて居るのであれば結構オススメな感じの一本ではありますよ。
個人的には思った以上に楽しめた作品でした。