NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ルームズ・フォー・ツーリスト」(70点/スラッシャー:結構オススメ)

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■■■「ルームズ・フォー・ツーリスト」■■■
(70点/スラッシャー:結構オススメ)

 トリニダードへと向かう途中で、サン・ラモンという小さな田舎町でバスから列車への乗り継ぎを行う事となったテーダらの5人の少女は、列車の時間を逃してしまい駅で1日立ち往生する事となってしまう。

 交通手段や宿泊施設も無い田舎町で途方にくれる彼女たちだが、駅で出会った『旅行者に部屋を貸している』という配達員のネスターという青年の家に泊めて貰う事となる。

 不気味な町の雰囲気に不安を感じつつも青年の家で一夜を過ごそうとするが、夜中に少女の一人が叫び声とともに行方不明になり部屋に大量の血痕が残されているのを発見。
 屋敷の中に殺人鬼が居る事を知った彼女らは、なんとかしてこの場所から脱出しようとするが…



 欧州の小さな田舎町で一夜を過ごす事と5人の少女たちが体験する恐るべき恐怖を描いた、アルゼンチン製のスラッシャーホラー映画。

 アルゼンチン製のホラー映画ってあんまり覚えが無いのでどんなものかと思って観てみたのですが、スペイン語圏だけあって欧州ホラーの印象に近い感じの雰囲気ですね。
 欧州ホラーと言えばエグい作品が多いながらも良作が多い印象ですが、本作もなかなかの良作といった印象の作品です。

 お話としては、いわゆる「ホステル」みたいなバックパッカーの都市伝説』を題材とした作品ですが、「ホステル」のように現在的なハデな演出のカラっとした作品ではなく、もっと70~80年代的なドロドロとしたスラッシャーホラーを焼き直した感じの印象の映画ですね。

 全体的な雰囲気が非常に良くて、とにかく終始に漂う『不気味な印象の演出』が非常に良好で、敢えて『画素の荒い感じの白黒の映像』のみで本編を作っているのも不気味さに拍車をかけてて良い感じ。

 ただ何の断りもなく本編が白黒映像なので、一瞬だけ自分のDVDプレイヤーがブッ壊れたのかと思って少し焦りましたよ…
 (最初に『画像が乱れるシーン』があるという警告は表示されるのに、『本編は白黒映画です』という警告は出ないのはどうなのかと…)

 映画の中身の方は、基本は女の子たちが殺人鬼から逃げ回っているだけの内容なのですが、作品全体にただよう不気味な空気や緊張感の持続させかたが非常に上手く、派手なシーンはあまり多くないものの淡々としてるのが逆に異様さを引き立ててるような印象。

 また残虐シーンも『ほどほど』程度であんまり過剰な描写は無いのですが、白黒映画の流血シーンって妙に生々しさを感じるので、なかなかのキモチ悪さです。

 サスペンス的なお話の構成が非常に上手くて少女たちもあんまりアッサリ殺されずに意外と頑張るので、最後まで『誰が生き残るのか』とか『どういう展開になっていくのか』がなかなか読めないのも面白いですね。

 特にストーリーの流れから来る終盤の『絶望感』は異常なレベルで、ラスト付近の展開はホントに怖かったです。

 少女たちの持つ『秘密』もお話の無常感ややるせなさを引き立てる要素となっており、なかなか良い演出ではないかと…

 ただ非常に良い感じの映画なのですが、欲を言えば序盤の最初の事件が起こるまでの展開がちょっとだけ冗長なのと、ヒロインたちの個性が少し弱い印象があったので、その辺がもう少しシッカリと描かれてれば完璧だったかも?

 あとラストのオチは少し余計だった気がするので、終盤の雰囲気映画的な終わり方のほうが良かったんじゃないかなぁ…


 総評としましては、なかなかどうして無名ながらも良く出来た『掘り出し物的な佳作のスラッシャーホラー映画』という感じの作品でした。

 70~80年代的なスラッシャーホラーのノリが好きな人であればほぼ間違いなく楽しめる作品だと思うので、その手の作品が好きだった人はチェックしておいて損の無い一本だと言えるでしょう。

 「ホステル」っぽい設定から『派手なスラッシャー映画』を求めて観ると、ちょっと肩透かしを食らわされてしまうかもしれませんが、普通に良作のホラー映画だと思いますよ。

 ただ白黒映像も味があって良いのですが、出来ればカラー版もちょっと観てみたかったかも?(未公開予告編のカラー映像が、なかなか良い味を出してたので…)