NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ゾンビ革命-フアン・オブ・ザ・デッド-」(65点/モンスター:結構オススメ)

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■■■「ゾンビ革命-フアン・オブ・ザ・デッド-」■■■
(65点/モンスター:結構オススメ)

 キューバのとある町で、正体不明の新型ウィルスの影響により死者が蘇って人間を襲いだすという事件が発生。

 刑務所帰りのならず者のファンはこの混乱を利用して親友のラザロたちと共に、ゾンビになってしまった肉親を家族の代わりに退治するという『殺人代行社』を立ち上げて、金儲けの材料にしようと考える。

 彼らは快調にゾンビ退治を続けていくが日増しにゾンビの数は増え続けて行き、遂には街中がゾンビの大群に包囲されてしまい…



 ゾンビの出現したキューバの町でならず者の主人公たちがゾンビを退治する事で一攫千金を得ようとするという、モンスターホラー映画。

 世にも珍しい…というか、どうやらキューバ製では史上初のゾンビ映画となる作品のようで、社会主義国家のゾンビ映画というだけでも珍しいのですが、色んな意味で貴重な作品ですね。

 お話のノリとしては、いわゆるシリアスなサバイバルホラーではなく、ちょっとブラックユーモアや風刺の効いたコメディ的な要素が強めの内容。
 ただ「ショーン・オブ・ザ・デッド」ほどコメディ的な要素は強くなくて、むしろ社会風刺的な印象が強い感じかな?

 キューバ革命以降も未だに混乱が続くキューバの内情が『ゾンビ』という題材を用いる事で強烈に風刺されており、政府や主人公がゾンビの事を『反体制派』と揶揄したりする辺りからもキューバの現状が示されている感じですね。

 他にも、社会主義国家らしい価値観やコメディのセンスが各所に散りばめられており、お国柄を非常に伺わせたり、色々と考えさせられる部分があるのは面白いですね。

 ブラックユーモアの要素だけじゃなくて、エンターテイメント的にも割とシッカリと作られており、見せ場はそこまで多くないもののガッツリと派手なアクションでゾンビをバンバン倒すシーンを描いたりと、随所に盛り上がるシーンとキチンと用意してるのもゾンビ映画というものを良く分かっている』という印象が持てます。

 破天荒なんだけど一本筋の通った感じの主人公のキャラクターも、他の作品にはなかなか居ないタイプで非常に良い味を出しており、娘との絆とか親友との友情を描くっぽいシーンもなかなか熱かったりと、そういうドラマ的な部分もおろそかになってないのは上手いですね。

 ただ全体的にソツの無い作りなのですが、やはりイキオイだけでは低予算映画である事を隠しきれない部分も多く、特撮なんかのショボさが目に付いたりと微妙なシーンもあったりするのは惜しいところですね。

 また、ラストの展開は『激動の歴史を生きて来たキューバ国民』の姿を象徴しているのかもしれませんが、ちょっと『何でそうなるの?』と思ってしまう部分もあるかも?


 総評としましては、B級ながらもパワフルで良く出来た『佳作レベルのゾンビ映画だと思います。

 『コメディ寄りのゾンビ映画』が好きな人なら間違いなく楽しめる内容だと思いますし、社会主義国家のゾンビ映画』という方向性に興味があれば、その興味を満たすだけでも十分に観る価値のある作品だと言えるでしょう。

 とりあえず、キューバというお国柄を強く反映した『他には無いタイプのゾンビ映画だと思うので、気になるのであればチェックしておいて損は無い一本だと思いますよ。