NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「エビデンス -第6地区-」(65点/モンスター:結構オススメ)

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■■■「エビデンス -第6地区-」■■■
(65点/モンスター:結構オススメ)

 ドキュメンタリー映画の撮影が趣味のライアンは、ある日、恋人や友人たちと4人でキャンプへと出かける事となる。

 ハンディカメラで友人たちの姿を撮影しながら森でキャンプを楽しむ彼らだったが、森の奥から奇妙な動物の唸り声を聞いたり、谷で見た事も無いような奇妙な動物を目撃する。

 更に深夜に『銃を持った不審な男』に遭遇した彼らは、怯えて翌朝にすぐにキャンプから帰ろうとするが、翌朝に友人の一人が行方不明になっているのを発見する。

 森の奥から叫び声を聞いたらいアンは、『何が起こったか』を撮影して残すために自らのカメラを恋人に託して、単身で森の奥へと友人を探しに向かうが、しかし夜になってもライアンはキャンプへと戻って来ず…



 謎のエリアに迷い込んでしまった若者たちが正体不明の怪物の襲撃を受けるという、POV形式のモンスターホラー映画。

 森の奥へとキャンプに訪れた若者たちがドキュメンタリーを撮影していたところ、全く訳も分からずに正体不明の怪物に襲われるという、いわゆるPOV形式のモキュメンタリー風モンスター映画ですね。

 最近のモキュメンタリーは、低予算で『現実味のある展開でリアルな感じ』を出すか、逆に割り切って『そんなアホな!』って感じの話を作るかというパターンが多いですが、本作はそのどちらとも取れないような個性的な印象のお話です。

 なんというか『物凄く訳が分からない映画』なんですが、変な表現ですが『良い意味で訳の分からない話』という感じでしょうか…

 最初は主人公たちは『森の中にキャンプに来ているだけ』で、ドキュメンタリーを撮ると言いつつも『二組のカップルが遊んでいるだけ』みたいな光景が描かれます。

 そんな調子なので中盤までの展開はホントにダラダラとした冗長な感じで、雰囲気映画ってほど雰囲気が良い訳でもなく伏線の張り方もパッとしない感じで盛り上がりに欠けるので『コレは微妙かも?』と思うようなノリなのですが、中盤以降の急展開が結構凄い。

 ちょっとネタバレになってしまうので、これから本作を観ようと考えている方は、この先は読まない事を推奨しますが…

***** この先、ネタバレ注意!! *****


 何が凄いって、後半に突入してからの『何が起こっているのかサッパリ分からないけど、とにかく怖い』という事が凄い!

 後半の展開は、主人公たちが訳の分からないまま『何だか分からないけどヤバそうな事』に巻き込まれてひたすら逃げ回ってるだけという感じの展開なのですが…

 コレがホントに『全く状況が理解できずに逃げ回ってる』って感じなのに加えて、視聴者に対しても『異常事態』に対する謎解きや説明が殆ど無く、且つ物凄く展開が早いため観ている視聴者も本当に状況の把握が出来ません。

 その終盤の怒涛(どとう)のような展開が『ワンカットの主観視点』で撮られているので、『実際に自分がとんでもないトラブルに巻き込まれたかのような感覚』を共感できて、変な意味でのリアリティがあるんですよね。

 この逃げ回るシーンの、襲ってくる『怪物の異様さ』とか『シチュエーションの異常さ』も良い味を出していて、実際にはありえないようなムチャクチャな話のクセに『異常過ぎて逆にリアルに感じてしまう』という、なんとも不思議な感覚…

 いや狙って作ったのかどうか分かりませんが、この説明不足とグテグテな展開を逆手に取った演出は一本取られた感じでしたよ。

 まあそれを差し引いても、この『矢鱈と終盤のテンションの高い展開』は一見の価値のあるレベルだと思います。

 ただホントに最後まで訳が判らないまま終わってしまう作品(ある程度は設定を想像で補間できる程度の描写はありますが)なので、『スッキリとストーリーにオチが付いている話じゃないと嫌だ』というタイプの人は、ちょっとモヤッとしてしまうかも?

 あと序盤は割と本気でダルいので、その辺は『作りにもう一工夫ぐらい欲しかったかも?』ってのが惜しいところではあるかなぁ…


 総評としましては、ホントに訳が分からないんだけど何か面白いという感じの『ノリで楽しむタイプのホラー映画』といった感じの作品ですね。

 ある意味で非常に『POVらしい特徴を活かした作品』だと言えるので、POVとかモキュメンタリーが好きな人ならば観ておいて損は無いですよ。

 個人的には『こんな手があったか!?』とちょっと感心させられた作品でしたよ。