NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「コリドー」(50点/サスペンス)

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■■■「コリドー」■■■
(50点/サスペンス)

 母親の死の影響で心を病んで精神病院に入っていたタイラーは、快気祝いとして昔の友人たちと5人で実家である雪山のロッジで休暇を過ごす事となる。

 しかし、雪山のなかに母親の遺灰を撒きに行った際に、透明の壁で仕切られた奇妙な『通路のようなエリア』を発見。

 最初は自分の妄想が生み出した幻覚だと考えるが、友人たちに確認して貰ったそのエリアが実在する事が判明。

 更に、そのエリアの中では電子機器が使えなくなり、『他人の心が読める』という特殊な能力が使えるようになると知った彼らは、そのエリアの秘密を独占しようとするあまり、偶然その場所に近づいてきた一人の男性を殺害してしまい、遂にはそのエリアの影響で彼ら自身も狂気に捕らわれていくのだった…



 雪山に突如として出現した謎の『通路』の影響で超能力を得た主人公たちが、やがて狂気に捕らわれていくという、SF風味のサイコサスペンス映画。

 主人公たちが突如として得た『他人の心を読む』という能力のせいで狂気に捕らわれて殺し合いに発展していく…という内容から、てっきり心理劇とか超能力者の悲哀みたいなのを描いた作品を予想していたのですが、どちらかというと『異次元の恐怖』みたいなのを描いたコズミックホラー的なノリの作品でした。

 お話のノリとしては、主人公が心を病んでおり『友人たちに怪我を負わせたせいで精神病院に隔離されていた』という過去を持つ事から、数年ぶりに邂逅した主人公たちの『過去のトラウマ』や『心理描写』がメインに描かれるという、割と人間ドラマに重きを置いた内容ですね。

 ただ、そこまでお膳立てされておきながら『人間関係を中心に掘り下げたサイコサスペンス』が描かれるのかと思いきやそういう訳でも無くて、狂気に捕らわれる原因が『外部的(謎の通路の)な影響』と感じられてしまうのは残念なところ。
 もっと心理描写をシッカリと掘り下げて、疑心暗鬼が狂気を生んでいくみたいな展開になってた方が面白かったんじゃないかなぁ?

 狂気に捕らわれた主人公たちの突飛な行動は結構怖くて、終盤のテンポの良さはなかなか良い感じだと思うのですが、主人公たちが狂気に捕らわれる展開が矢鱈と唐突で少し前までマトモな会話をしていた人間が唐突に奇矯な行動を取り出すという流れには、少しだけ違和感を感じました。

 まあ、その唐突な落差の怖さを描きたかったのかもしれませんが、個人的にはもう少し『狂気へと捕らわれていくプロセス』なんかをシッカリと描いて欲しかったです。

 ラストシーンもあまりに唐突過ぎて自分には意味が良く理解できなかったので、その辺がもう少し丁寧に描かれてればなぁ…

 全体的な雰囲気なんかは良く出来ているし、設定やアイデアはなんかも悪くないと思うので、ちょっと惜しい印象を受ける作品ではありましたよ。


 総評としましては、総じて悪くないですし見どころも多いのですが『荒削りな部分が割と目に付いてしまう作品』といった感じかなぁ?

 難解という訳では無いのですが、ちょっと唐突で『えっ?』となってしまうシーンが多いので、細かい部分が気になる人は微妙に感じてしまうかもしれません。

 とまれ、サイコホラーやSFサスペンス的なノリが好きならば、そこそこ楽しめる作品ではありますので、そういう方面が好きで興味があればチェックしておいても損は無い一本ではなでしょうか?