その日のうちに隣家へと挨拶に向かった彼女だったが、人の気配はあるものの全く姿を現さないうえに、深夜に壁を引っ掻くような奇妙な音が聞こえたり目覚まし時計を鳴らしっぱなしで全く止めようとしないという隣家の態度に不審な態度に、何か不気味なものを感じさせられる。
更に、学校でクラスメイトから『クロユリ団地には幽霊が出る』というウワサを聞かされた事から不安な気持ちを募らせるようになっていく彼女だったが、団地の公園で出会ったミノルという少年から、彼女の家の隣家には『老人が一人暮らしをしている』という話を聞かされた事から、『もしかしたら隣人が病気か何かでトラブルに見舞われているのではないか』と疑問を抱き、再び隣家を訪問する事を決意するが…
『幽霊が出る』というウワサの流れる古びた公営団地に引っ越してきた一人の少女が遭遇する恐るべき恐怖を描いた、オカルトサスペンス映画。
いやはや鳴り物入りの前評判に違わず、思ってた以上に『面白い作品』でしたよ!!
ただ『怖かったか?』とい言われるとコレが微妙なところで、純粋に『ストーリーが面白かった』ってのが正直な感想ですね。
一応、ジャンルとしてはオカルトもののJホラーなのですが、ノリとしてはサスペンス的な要素が強く、そのサスペンス部分が非常に良く出来ている印象です。
序盤から、かなりあからさまに『見ていて気になる伏線』が大量に張られており、少しでも想像力のある人間ならば『コレは何かあるな…』というのが予想できてしまうようなノリなのですが、
この中盤~終盤にかけての『謎解き』と『伏線の回収』のプロセスが非常にカタルシスがあるうえに、怖がらせる要素だけじゃなくてちょっと泣かせるような要素もあったりと、一筋縄では行かない展開でなかなか感心させられます。
ホラー要素の方もおざなりという訳では無くて、盛り上がるシーンの緊張感とか演出の怖さもなかなかのもの…
ただドラマ的なサスペンス要素に重点が置かれているため、『お話的な怖さ』という点ではいま一歩なところが残念な部分でしょうか?
演出とかでピンポイントで怖いシーンは結構あるんですけどね…
演出とかでピンポイントで怖いシーンは結構あるんですけどね…
まあ『怖さ』がイマイチと言いつつもラスト周辺とかは結構盛り上がりますし、伝統的な『怪談』をオマージュした展開はなかなか意表をつく感じで面白かったです。
でも不満点を挙げるなら、ラストのオチはちょっと安易な感じで個人的にはイマイチだったかなぁ?
ちょっとネタバレになってしまいますが…
『とりあえずバッドエンドにしておけば怖がるだろう』的な投げっぱなしの仕方で、どうにも最後だけはスッキリしませんでしたよ。
別にバッドエンドでも良いのですが、もうちょっと『後を引くような怖さ』のあるオチにするか、もしくは『観客が置いてけぼりになるぐらいの投げっ放しっぷり』で突き放してくれた方が良かったと思うので、その辺だけは不満点だったかも?
総評としましては、流石に「リング」ほどの衝撃は無いですが『普通に良く出来たオカルトサスペンス映画』だと思います。
ストーリー重視のサスペンスホラーが好きな人であれば、間違いなく楽しめる内容だと思いますのでJホラー系の作品の『謎解きパート』とかが好きな人は、観ておいて損は無いでしょう。
謎解き部分の『モヤっと』が『スッキリ』になる流れは、この手の作品の中でもトップレベルだと思いますので…
謎解き部分の『モヤっと』が『スッキリ』になる流れは、この手の作品の中でもトップレベルだと思いますので…
とまれ、このところのJホラーはイロモノ系とか微妙な作品が多かった感じですが、久々に素直に『面白い』と言って良いレベルの作品でしたよ。