■■■「新・ブギーマン」■■■
(45点/モンスター)
アメリカの平和な片田舎の町で巡査を務めるマイケルは、町外れに住む『スキナー』というあだ名で呼ばれる老人が、何者かに怪力で首を折られて殺されるという奇妙な事件を調査する事となる。
その日の夜に、森の中でパーティを行っていた若者たちが一人を除いて全員が虐殺されるという恐ろしい事件が発生。
生き残った若者は『顔に沢山の傷のある大男』に襲われたという奇妙な証言を残す。
また、その日のうちに隣の家の住人が何者かに爪で引き裂かれて殺されるという、連続殺人事件へと発展。
事件を調査するうちに、最初に殺された老人が自分の相棒のレベッカ巡査の父親だったという事を知った彼は、事件以降に奇妙な態度を取りつづけるレベッカが事件の何らかの手がかりを握っているのではないかと考えるが…
アメリカの片田舎の町で闇に封印された恐るべき『伝説の怪物』が目覚めるという、モンスターホラー映画。
「新・ブギーマン」なんてタイトルが付いているので、てっきりサム・ライミの「ブギーマン」か「ハロウィン」のマイケル・マイヤーズとかと関係がある作品なのかと思いきや、特にコレといった繋がりのある作品では無いようです。
(ちなみに原題はそのまま「BOOGYMAN」なんですけど…)
設定的には恐らくオリジナルのモンスターホラー映画だと思いますが、内容的には割と凡作といった感じの作品かなぁ?
ストーリーとしては、とある田舎町に住む近所の子供が偶然にも『伝説の怪物』の封印を解いてしまった事から、恐るべき連続殺人が行われる…というような感じのお話なのですが…
最初に怪物の封印を解いてしまったのが主人公の警察官の息子だったり、怪物の封印を守っていたのが主人公の相棒の父親だったりと人間関係が妙に入り組んでて、それに加えて怪物の正体も『あまり一般的ではない怪物』なので、最初は設定を理解するまでにちょっと混乱しそうになります。
まあ一応は意味のある配役と設定なのですが、序盤はもうちょっとスッキリと描けなかったものかなぁ…という感じ。
怪物が封印を解かれた直後にいきなり『森の中でパーティーをしている10人ぐらいの若者』を全員殺害したりと、ストーリーだけ聞くと矢鱈と派手な行動を取っているのように見えますが、ぶっちゃけ怪物の襲撃シーンは殆ど画面に写らないし、特撮もショボめで実態のほうは低予算の地味なモンスター映画という感じですね。
怪物の外見も単に『顔がただれたゾンビ風の大男』っていう定番のデザインで、特に面白味も無いですし、お話のテンポなんかもそこまで良く無くて見せ場もあまり無いのでモンスター映画としてはちょっと微妙な印象。
でも、まるっきり観るべきところの無い映画かと言うとそうでもなくて、件の『矢鱈とややこしい設定』の秘密が解き明かされる、後半の謎解きプロセスは意外と良く出来ててその部分はなかなか面白い。
怪物の『正体』もなかなか予想外のところから持ってきており、オリジナリティのある設定は割と良い感じだと思います。
終盤の怪物との対決シーンも、地味ながらもまあまあ盛り上がりますしね…
ただ、やはり前半の展開がゴチャゴチャしすぎなのと、割と壮大な設定の割には内容がショボくて、題材的に『設定負け』してしまっている感があるのは辛いところですねぇ。
色々とオリジナルの設定を取り入れようという試みや、面白そうな話を作ろうという意気は買えるのですが、なんと言うか予算や内容の方はその域に達していなかったという感じでしょうか…
総評としましては、ちょっと『特殊な設定』だけど中身の方は凡庸な『普通のB級モンスター映画』といった感じの作品ですね。
オリジナリティのある作品とかが好きな人であれば、まあまあ楽しめる内容になっているとは思うので、ちょっと変わった題材のモンスターホラー映画とかを求めているのであれば、まあまあ楽しめる作品だと言えるかもしれません。
逆に「ハロウィン」シリーズのようなノリや、サム・ライミ製作の「ブギーマン」シリーズみたいなのを期待してると、全く異なるジャンルですのでちょっと肩透かしを食らわされるかもしれませんので注意しましょう。