NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ロンドンゾンビ紀行」(70点/モンスター:オススメ)

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■■■「ロンドンゾンビ紀行」■■■
(70点/モンスター:オススメ)

 ロンドンのイースト・エンドに暮らすお調子者の兄弟のテリーとアンディは、自分たちを育ててくれた祖父の入居する老人ホームが高級マンションの建設のために閉鎖されると知り、それを阻止するために3人の友人たちと一緒に銀行強盗を行う事を計画する。

 首尾よく金を手にするものの銀行で警察に包囲されて銀行に閉じ込められてしまった彼らだったが、銀行で篭城しているうちにていつのまにか街にゾンビがあふれかえって大混乱に陥っている事に気付く。

 混乱に乗じて犯行現場から逃げ出した彼らは、老人ホームで孤立しているであろう祖父とその友人たちを救うために老人ホームへと向かう事を決意するが…



 突如出現したゾンビの大群によって孤立した老人ホームを救うために、お調子者の兄弟が老人たちと共にゾンビと戦うというモンスターホラー映画。

 『動きの遅いゾンビVS動きの遅い老人』という異色の組み合わせを描いた事で話題を呼んだ、イギリス製のコメディホラーですね。

 「ショーン・オブ・ザ・デッド」のヒット以降ちょっと流行りつつあるジャンルですが、本作はいかにもイギリスらしい不謹慎なネタに加えて単純にゾンビ映画としてのセンスも良くて、この手のジャンルとしては久々の当たりといった印象。

 ゾンビは最近流行の『死ぬ前より元気なタイプ』ではなくて、いわゆるオールドタイプの動きの遅いゾンビなのですが、この矢鱈とのろまなゾンビに追いかけられて動きの遅い老人が歩行器具や車椅子でのろのろと逃げる姿が、全く緊張感が無くて矢鱈と笑えます。

 更に単純にそういう『一発ネタの映画』に終わっておらず、普通にゾンビ映画としてもなかなか良く出来ているのは非常に好感触ですね。

 ゾンビ映画のお約束どおりゾンビの方はトロ臭いぶん数で押してくる訳ですが、このゾンビの群れを主人公たちがバッタバッタとなぎ倒していく姿は非常に痛快で、特撮もそこそこお金がかかっているので見せ場としても十分。

 また、老人たちが銃器を手にゾンビと戦うシーンも無駄にカッコ良くてシビれます。
 歩行器具にサブマシンガンをダクトテープで貼り付けてゾンビ相手に乱射してみたりとか見せ方のセンスも良いですし、特に元軍人の主人公のお爺ちゃんは老人のクセに無駄にタフでカッコ良すぎでしょう!!

 ただ惜しむらくは、一番の見どころである『老人たちがゾンビと戦うシーン』が割と物語の終盤だけしか無いという事でしょうか…

 それまでの展開もツマんないという訳では無くて、銀行強盗がらみのグダグダのシーンを除けばゾンビも殆ど出ずっぱりなのでゾンビ映画としては十分に及第点のレベルなのですが、やはり期待してたようなシーンが短めなのはちょっと物足りないですね。

 あと、サッカーチームのサポーターがゾンビになってもゾンビ同士で乱闘してみたりするネタは、なんか蛇足だったかなぁ…(いかにも『イギリス的なネタ』と言えばそうなんですが…)

 また、ラストの『ちょっと良い話』的な展開は取って付けたみたいで微妙だったかも?
 まあオチとしては、なかなか上手い落としどころではあると思うのですが…

 ちなみに、いくらなんでも『老人が歩行器具を使って逃げ切れるほどのトロいゾンビ』が相手なら、流石にあそこまで感染が広がる前にゾンビが駆除されてしまいそうな気がしたのですが、そういう部分へのツッコミはしちゃダメですかね?(笑)


 総評としましては、前評判に違わぬレベルの『なかなかの良質なコメディホラー映画』という感じの作品でした。

 とりあえずショーン・オブ・ザ・デッド」やらのゾンビもののコメディ映画が好きな人ならば、本作も間違いなくチェックしておくべき一本だと言えるでしょう。

 普通にゾンビ映画としても良く出来ていますしイギリス映画にしてはそこまでアクが強く無いので、この手のジャンルが好きならば観ておいて損は無いと思いますよ。