■■■「クリーチャーズ 異次元からの侵略者」■■■
(60点/モンスター)
大学生のジョンは、ある日、ボブというジャマイカ人の学生から貰った『別世界への扉が開く』という『ソイソース』というドラッグを使ったところ、理解不能の事態が立て続けに発生するようになる。
混乱した彼は友人のデイヴィッドに電話で相談するが、ジョンを介抱しようとした彼も誤ってドラッグを摂取してしまい、その直後から自分たちが『未来の情報』や『他次元の存在』を理解できるようになっている事に気付く。
なんとか事態を収拾させようと努力する彼らだったが、ドラッグによって得た能力によって『異次元からの侵略者が彼らの世界を狙っている』という事実を知ってしまった事から、否応無しに次元を超えた戦いへと巻き込まれていくのだった…
特殊なドラッグを摂取する事で『次元を超えた存在』を感知できるようになった若者たちが異次元からの侵略者と戦うという、コズミックファンタジー風味のモンスターホラー映画。
「ファンタズム」で有名なドン・コスカレリ監督の久々の快作…というか、むしろ『怪作』とでも言うような感じの作品ですね。
ホラー・ファンタジー系の映画祭である「トロント映画祭」で絶賛された作品という事ですが、いやはやソレも納得するレベルのホントに先鋭的でブッ飛んだ内容です!!
一応、『異次元からの侵略』みたいなのを題材としているので、設定的には「ファンタズム」と似ている部分もあるのですが、内容的には「ファンタズム」を100万倍ぐらいアナーキーにしたような感じかなぁ?
ドラッグをモチーフにしているのもあるのでしょうが、ストーリーやら設定やらが物凄い支離滅裂で本気で『ラリってる人の妄言』みたいな内容で、ストーリーをマジメに追いかけてても途中の所々で『え、何言ってんだお前?』って状態になるようなレベル。
それでも一応はストーリーがキチンと繋がってて、それなりに筋の通った話になっているのが凄いところなんですが、逆に中途半端に筋が通ってる辺りがいかにもヤク中の妄言みたいになってるって辺りも面白いです。
ただ『実は主人公がドラッグをやりすぎて、おかしくなっただけなんでは?』という疑問を抱きたくなるような内容ではあるものの、その辺を深く掘り下げるような内容でもなく、アクマで『エンターテイメントに徹した作り』でテーマ性や道徳的な要素とかを全く感じさせないという、割り切った『ロックな感じの作り』なのはなかなか良いセンスではないかと…
また、クリーチャーのデザインや美術デザインのセンスもかなり『頭がおかしいレベル』で、低予算のチープな映像と合わせて独特の世界観を構築してるのも良い感じ。
(アルチンボルドの野菜で出来た肖像画みたいなデザインの『肉男』はインパクトありすぎ…)
ただ前述のとおり低予算映画なせいもあってか、アクションシーンとか派手なシーンに乏しく、加えてストーリーも訳ワカメな部分が多いので全体的に緊張感や盛り上がりに欠ける印象なのは残念なところ。
またブッ飛んでは居るものの「ファンタズム」のキラースフィアやトールマン程のインパクトのあるキャラクターも居ないですし、その辺はもうひと頑張りして欲しかったところかなぁ…
総評としましては、純粋にホラーとしては『どうなんだ?』と思う部分もありますが、先鋭的すぎるという点を除けば『変なノリのダークファンタジー系の映画』が好きならば割と楽しめそうな作品だと思います。
なんというか、大人向けというか『ブッ飛んだ大人向けの「ファンタズム」』という感じの内容ですかね…
『ドン・コスカレリ監督は、いったい何処に向かいたいんだ?』と不安になる部分もありますが、それなりに監督らしいテイストも感じられた内容でしたので、コスカレリ監督が好きであればチェックしておいても良い感じのタイトルではないでしょうか?