■■■「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」■■■
(60点/オカルト)
19世紀末。
ロンドンに暮らす若手弁護士のアーサーは、妻を早くに亡くした哀しみから立ち直れないままに幼い息子との生活を送っていた。
そんなある日、事務所からの命令でアリス・ドラブロウ夫人の遺産を整理し『遺言状を探し出す』という仕事を担当する事となった彼は、幼い息子を残してクライシン・ギフォードへという田舎町へと向かう事となる。
異常なまでに排他的な町の人たちの様子に不審なものを感じつつも、夫人の住んでいた『イールマーシュの館』へと向かい調査を始めた彼は、この屋敷の過去にまつわる恐るべき秘密を知る事となるのだった…
イギリスの片田舎の町で屋敷に出没する『黒衣の女』の亡霊の伝説を描いた、ゴシック風味のオカルトホラー映画。
「ハリー・ポッター」で有名なダニエル・ラドクリフ主演によるオカルトホラー映画ですが…
何と言うか、この業界には『子役でメジャーになった俳優は後にB級ホラー映画に出演しなければならない』という鉄の掟でもあるんですかね?
それぐらい、子役俳優ってホラーへの出演率が高い気がするんですが…
まあそれはさておき本編の方は、イギリスの伝統的ホラー製作会社である『ハマーフィルム』による伝統的なゴシックホラーオカルト映画と言ったタイプの作品で、ハマーフィルムらしく奇をてらわないカッチリとした作りの内容で、なんというか『普通に怖い映画』って感じですね。
19世紀を舞台とした美術デザインに加えて、70年代の映画を意識したような画質やスローテンポでじんわりと怖さを盛り上げる演出は、悪く言えば古臭い感じですが、良く言えばトラディッショナルで古式ゆかしい感じの作品といった風味。
ストーリーの方も『息子を失って復讐のためにさ迷い続ける母親の亡霊』とか『妻を亡くして悲しみから立ち直れない主人公』とか雰囲気的にかなり重い内容で、古臭くて重々しい演出が非常にマッチしているのは良い感じ。
時間をかけてキャラクターをじっくり掘り下げる事で、お話に深みが増しているのも良い点でしょう。
それでいて、どことなく「Jホラー」っぽさを感じさせるようなノリもあったりして、現代風の作品のテイストとオールドタイプのゴシックホラーのテイストを上手く融合させてる印象ですね。
ただ古臭い作り故に派手さはあまりなくてストーリーのテンポなんかも遅めなので、最近のジェットコースター的なホラーに慣れてる人は、中盤辺りとか冗長でちょっと退屈に感じる部分もあるかも?
また謎解き要素も捻りのようなものがあまり無くて、謎解き自体も凄くアッサリしてるので、その辺はもうちょっと捻りがあっても良かったかな?
あと、哀しげなんだけど何となく印象に残るラストの展開は、個人的には割と好きだけど賛否両論ある部分かなぁ?
もうちょっと、モヤっとしたものが残らないようなオチでも良かったかも…
総評としましては、絶賛する程では無いですが『割と普通に楽しめるレベルのオカルトサスペンス映画』といった感じの作品でした。
ハマーフィルムらしいオールドタイプのゴシックホラー的なノリなので、そういうノリが好きな人ならば、そこそこ楽しめる作品だと思います。
ダニエル・ラドクリフ主演という事で話題性もそこそこありますし、気になっているならばチェックしておいても損は無い一本だと言えるでしょう。