■■■「ゴースト・フライト407便」■■■
(50点/オカルト)
バンコクからプーケットへ向かう飛行機の離陸直前に貨物室から異音を聞いたエンジニアのバンクは、音の原因を確かめようとしたところ何者かによって貨物室に閉じ込められてそのまま飛行機が離陸してしまう。
キャビンアテンダントでありバンクの恋人でもあるネウたちによって、貨物室からなんとか無事に救出されるが、彼の救出と前後して乗客たちが何者かに取り憑かれたような奇妙な行動を唐突に取り始めたり、亡霊の姿を目撃したりするという事件が発生。
バンクはこの現象の原因を、何らかの機材のトラブルで機内が急激に減圧された事による酸欠による集団幻覚だと判断。
このままフライトを続ければ乗客の生命に関わることから、何とかしてフライト中に機材の修理を行おうとするが、彼らが飛行している空域は『飛行機の乗客の謎の変死事故』が多発するという魔の空域だったのだ…
『乗客の謎の変死事故』が多発するという魔の空域を飛行する旅客機が亡霊たちに襲われるという、タイ製のオカルトホラー映画。
タイ(というか東南アジア系)のホラー映画って、何だか『無駄に勢いだけはある』ような作品が多いのですが、本作もいわゆる『矢鱈と勢いだけはあるスプラッタ風味のオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。
いわゆる『魔の海域』に侵入した『幽霊船もの』を飛行機に置き換えたような感じのお話でストーリーや設定的には特に目新しい部分は無いのですが、方向性として『オカルト要素』に加えて『過剰なゴア表現』や『パニック映画的な要素』、『サイコホラー的な要素』とか『人間ドラマ的な要素』やら、色々と面白そうな要素を組み込もうと努力しているのは認めます。
ただ色々と詰め込もうとしすぎて逆にまとまりが無くなってしまい、全体的にストーリーやら構成がグデグデすぎる印象なのは困りものかなぁ?
ストーリーの中盤で『えっ、ここでそれって必要なの?』というような矢鱈と唐突な『ちょっと良い話』っぽいドラマのシーンがあったり、登場人物のキャラクターや演出が無駄に濃い割にはお話にあまり活かされてなかったりと、なんというか取って付けたような無意味な要素が多すぎる印象。
曰くありげに描かれてたヒロインの過去の確執とかも、最後まで本編の流れと殆ど関係ないですし、飛行機もの的なパニックシーンとかも必要あるのか疑わしいシーンが多いですし、ここまでゴチャゴチャと詰め込もうとせずに単純に『ゴア表現強めの幽霊船(飛行機)もの』ってノリじゃダメだったのかと…
色々と詰め込まれているお陰でテンポは良いですし、東南アジア系の映画にしてはCGとかも割と使ってて特撮もシッカリしており見どころとなるようなシーンも沢山詰め込まれているのは良いのですが、どうにも色々とやりすぎて作品全体としての印象が非常に散漫になってしまっている感じ…
観ていて楽しいというよりも『疲れてしまうようなノリ』なのが惜しいですよ。
サービス精神が旺盛なのは良いのですが、もうちょっと描きたい方向性をハッキリさせてスッキリとまとめてくれた方が良かったかな?
ラストの展開も『だから結局なんなんだよ?』っていうような感じのオチだし、ストーリーに関してはもうちょっとどうにかならんかったかなぁ…
総評としましては、作品としての勢いは認めるし色々と頑張ってるのは分かるんだけど、どうにも『全体的に残念な印象の残る作品』でしたよ。
ツマんなくは無いしテンポも良いので普通に観れるレベルではあるのですが、オススメできるほどの要素があるかと言われるとちょっと微妙なところ…
とりあえず、最近、ちょっとずつ台頭してきている『東南アジア製のホラー映画』のイキオイを感じるには良い感じの作品かもしれませんので、そういう方面に興味があり、チェックしておきたいという人ならば観ておいても良いレベルの作品だと言えるでしょう。