NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・クロコダイル ~人喰いワニ襲来~」(60点/モンスター)<

イメージ 1

■■■「ザ・クロコダイル ~人喰いワニ襲来~」■■■
(60点/モンスター)

 中国の浙江省で『ワニ牧場』を経営するリウは、財政的な経営難のためワニをワニ料理店の食材として手放す事となる。

 しかし引き取られた先のワニ料理店で、ワニ牧場で最も巨大で賢いワニである『マオ』が料理人を倒して脱走。
 責任を問われるのを恐れた料理店の店主は、巨大ワニの脱走を秘密に処理しようとする。

 そんな矢先、警官のワンはイタリア帰りの女性から『巨大なワニに10万ユーロの入ったハンドバッグを食べられた』という奇妙な届出を受ける。

 最初は女性の話を妄想だと思って取りあって居なかった彼だったが、近所の男性の飼っていたヤギが巨大な動物に食べらているのを発見した事から、本当にワニが逃走しているのではないかと疑いを抱くが…



 ワニ料理店から高級食材として仕入れられた巨大ワニが逃走して町をパニックに陥れるという、中国製の生物パニックホラー映画。

 中国製の生物パニック映画ってちょっと珍しい感じですが、以前に中国で洪水の影響で『ワニ園で食用に飼育されていたワニが大量に脱走する』という事件があったので、その辺の実際の事件に着想を得て作られたのでしょうか?
 内容的には、いわゆる中国版「U.M.A.レイクプラシッド」みたいな感じのお話ですね。

 『料理店から調理前に巨大ワニが逃げ出しちゃうんだけど、料理店の悪徳オーナーが事件を秘密にして自分たちの手でワニを捕らえようとした事から、やがて街中がパニックに…』みたいな感じのお話で、設定だけ見ると割とオーソドックスな生物パニックものっぽいのですが…

 ワニに10万ユーロを飲み込まれて、やっきになって取り返そうとするお姉ちゃんがヒロインだったり、ワニ牧場の常連で巨大ワニと心を通わせる少年が登場したりと、普通のホラーというよりはコメディ要素やドラマ要素が強めな印象です。

 また『中国製のパニック映画』という事で、てっきり安っぽい感じの特撮のD級ぐらいの内容を予想してたのですが、意外にも特撮が物凄くシッカリしていて、特にワニのCGの完成度の高さは特筆すべきレベル。

 ワニが猛スピードで走り回ったり襲い掛かってきたりするシーンの迫力はかなりのもので、ハリウッド製のB級ホラーでもここまでシッカリとしたモンスターのCGを作れる作品はそうそうありません。

 ワニだけあって『水辺で活動する』ような描写が多いのですが、水の表現を違和感無く実写と組み合わせているのは割と凄かったりするので、『凄くお金がかかってるなぁ…』と普通にビックリしましたよ。

 ただワニのCGや登場シーンの迫力は素晴らしいのですが、純粋に『生物パニック映画』としてみると物足りない部分が多いのは残念なところ。

 前述のとおり、全体的にコメディタッチを中心にストーリーが展開するのでどうにも緊張感が薄めなんですよね。

 またそれに加えて、巨大ワニが『殺されかけたせいで怒りに我を見失っているけど実は賢くて大人しい』という設定があり、基本的に人間をあまり襲わないため人間との絡みのシーンが少な目(ワニ自体の登場シーンはそこそこ多い)なので、どうにも盛り上がりに欠けます。

 せっかくここまでシッカリとワニのCGを作っているんだから、もっと派手なパニックシーンを描いて大暴れさせて欲しかった。

 ただストーリーそのものは、パニックシーンが少ない割りにはコメディ的な要素やドラマ的な要素が上手くまわってて、途中で少しだけ中だるみっぽい部分はあるものの全体的にテンポ良く楽しめる作りになっているのは良い感じなんですけどね。

 やはり惜しむらくはワニの暴れるシーンの少なさと、加えて『ラストの展開がちょっとアッサリしすぎ』で今ひとつ盛り上がりに欠ける辺りかなぁ?
 その辺がもうちょっとシッカリと作られてればかなりの良作になったと思うので、ちょっと残念なところです。


 総評としましては、ちょっとアレな感じのパッケージやタイトルから地雷かと思いきや、意外と普通に『割と良く出来たB級生物パニック映画』ってレベルの作品でしたよ。

 中国製という事で警戒してたのですが、いやはや『中国なかなかやるじゃん!!』という感じ…

 ツッコミどころや不満点もありますが、生物パニック系のホラー映画が好きな人ならばそこそこ楽しめる作品だと思いますので、その手のジャンルが好きならばとりあえずチェックしておいても損は無い一本でしょう。

 ただ『コメディ路線が鼻に付く』という人も居るかもしれませんし、あまりシリアスな内容を求めると肩透かしを食らうのでご注意を…