NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「YES/NO イエス・ノー」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「YES/NO イエス・ノー」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 結婚したばかりのジャックは、ある日、意識を失ってから目を覚ますと『打ちっ放しのコンクリートで囲まれた殺風景な部屋』に閉じ込められており、カメラの映像で妻のケイトも同じように別々の部屋に捕らえられている事を知らされる。

 彼らを閉じ込めた何者かは、彼らに各々に『自分たちの生活を隠し撮りされた映像』や『過去の秘密をあばくような映像』を見せ、次に映像に関する『質問』を表示してその質問にYES/NO形式で回答して、間違えると『色んなものを失う』というペナルティを課せられるテストを強要。

 自分の知らない過去の秘密や真実を突きつけられた彼らは、徐々に相手の事を信用できない疑心暗鬼の状態に陥っていき…



 何者かに拉致された新婚夫婦が「YES/NO」形式の質問を行うというテストを繰り返され、極限状況での信頼関係と愛を問われるという、シチュエーションスリラー映画。

 いわゆる『不条理系の監禁型シチュエーションスリラー映画』なのですが、夫婦を別々の部屋に監禁して『相手を本当の意味で信用できなければペナルティが与えられる』というシチュエーションは確かに今までに無かったような独創的な設定で面白いですね。

 序盤は普通のシチュエーションスリラーっぽく『犯人は何者なのか?』とか『犯人の目的は?』といった感じの部分が焦点でお話が展開していくのですが、中盤からは『夫婦間のトラブル』がお話の焦点になっていくってのも意外性があってなかなか面白いです。

 サスペンスの方式としては、盗撮映像の一部を『悪意のある形』で編集して見せたり『既に解決した事件』を現在進行形のように見せられたりして、夫婦間の亀裂を生むように煽られるというのがメインの展開なのですが…

 『夫婦の信頼関係』のみが焦点のお話とか設定だけ聞くと結構ダルそうな印象を受けるのですが、意外とコレが謎の提示の仕方やストーリーの運び方が上手く夫婦間の『秘密』も矢鱈と盛りだくさんなので、あまり退屈しないような作りになってるのは良い感じです。
 (っていうか、お前ら夫婦で秘密が多すぎだろ…(笑))

 また、中盤で謎解きを敢えて『中途半端に行う』事によるストレスの与え方が上手くて、お話の先が読めない展開でグイグイと引っ張っていく構成も良い感じ…
 そして終盤~ラストにかけてそのストレスが一気に解消されて、凄いカタルシスが得られるという作りなのも、非常に盛り上げ方の上手い作品だと思いました。

 作品のテーマ性なんかも分かりやすいですし、シチュエーションスリラーとしては割とシッカリまとまってて十分な満足なレベルでした。

 ただオチはキレイなのですが、シチュエーションスリラー系にありがちな『謎の一部の解説を完全に放棄してしまっている』タイプの映画なので、お話の全体像がスッキリしないと満足できないという人には、ちょっと不満の残る作品かも?

 あと話の構成が上手いとはいえ、やっぱりネタが『夫婦間のトラブル』だけでは流石にそこまでテンポ良くグイグイと引っ張れる訳では無いので、中盤辺りがちょっと冗長な印象を受けたのは残念なところかな…

 それとややネタバレになりますが、ラストで『旦那のギャンブル依存症は、アレでホントにキチンと更生されるんかいな?』という疑問を感じたのは自分だけですかね?


 総評としましては、作品の設定や題材から観てみるまではあんまり期待してなかったのですが『予想外に良く出来たシチュエーションスリラー映画』といった感じの作品でした。

 監禁もの作品にありがちな『痛そうな描写』なんかもあまり無いですし、他には無いタイプの作品として個性もあって良い感じだと思います。
 ただ、一般的なシチュエーションスリラーとはノリが少し異なりますので、「ソウ」とか「CUBE」みたいな緊迫感の強い作品を期待してると、ちょっと肩透かしを食らうかも?

 とまれジャンル的にはなかなかの良作だと思いますので、予告なりなんなりで気になっているのであれば、チェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。