■■■「ボルテックス 巨大生物総進撃」■■■
(30点/モンスター)
アフガニスタンの砂漠で調査任務に就いていた米軍の偵察部隊が行方不明となる事件が発生。
軍の研究者で『ワームホール』の研究家であるガーバー博士が偵察部隊の任務に関わっていた事から『砂漠にワームホールが出現しているのでは無いか』と考えたアメリカ軍は、かつて軍で同じ研究をしていたマークス博士に現場を調査しワームホールを破壊する事を依頼する。
彼は特殊部隊と共に偵察部隊が行方不明となったポイントへと調査に赴くが、その場所で彼らを待ち受けていたのはワームホールの影響で巨大化した毒グモやサソリの群れであった…
中東の砂漠に出現したワームホールの影響で巨大化した『毒グモ』や『サソリ』といった巨大生物の群れと軍の特殊部隊が戦うという、モンスターパニック映画。
『アメリカ軍の特殊部隊が砂漠で巨大グモや巨大サソリや巨大ハチや巨大ヘビと戦う』という設定や、あたかも「怪獣総進撃」的な巨大生物が描かれたパッケージを見ると物凄くハチャメチャで面白そうな話のように思えるのですが…
なんと言うか、何重もの意味で凄くガッカリな感じの作品でしたよ。
何がガッカリかって、何よりもまず『巨大生物があんまり登場しない』という事。
パッケージだけ見ると、いかにも『巨大生物が群れで攻めてくる』みたいなノリの展開を期待してしまいますが、登場する巨大生物は殆どのシーンが『巨大グモ』や『巨大サソリ』が散発的に1匹づつ出てくる程度。
しかも、この巨大生物がパッケージだといかにも『怪獣』的な感じで描かれているのですが、本編では2m程度のサイズしかなく、CGもかなりお粗末な感じなので全く迫力がありません。
またCG故に人間との絡みも少なくて、襲撃シーンやアクションシーンでは襲われている人間の一人芝居の『イメージ映像』みたいなシーンも多くて、どうにも盛り上がりに欠けます。
怪物の出番も少なく襲撃シーンには迫力が無く造型もショボいという、既にモンスター映画としては3重苦のような状態です。
モンスターの出番が少ないからと言って、ストーリーが凝っているのかと言われるとそう言う訳でもなく、ストーリーに関しても色んな意味でツッコミどころが満載な状態。
まず、生物が巨大化したのが『ワームホール』から発される『ガッタ線』の影響だという設定なのですが…
そもそも『ガッタ線』って何やねん!?
自分は物理学にそこまで詳しい訳では無いとは言え一応は理系人間なのですが、そんな放射線の事はついぞ聞いた事がありませんよ。
(もしかして『ベータ線』と『ガンマ線』を組み合わせて作られた造語なのか?)
まあ謎の放射線(?)の話はさておくとしても、だいたい『ワームホール』って『そんな簡単に地球上に出現させられるものじゃ無いだろう?』と思うのですが、そもそも、マッドな科学者が出現させたにせよ古代遺跡の遺産だったにせよ、どっちにせよ設定に無理がありすぎです。(というか、そんな超テクノロジーがあったら巨大生物なんか楽勝で倒せるだろ…)
またストーリーに加えてキャラクターの魅力もイマイチで、主人公の博士と特殊部隊の隊長が『ヒロインを巡る恋敵』みたいな設定なのですが、この2人がどちらも『ちょっと嫌なやつ』なのに加えてヒロインもたいして美人でも無いので、どっちも応援したくないうえに全くうらやましくないので、1%すらも感情移入できないで単に『冗長な三文芝居を見せられるだけ』というなんとも困った状態に…
他にもとにかくツッコミどころが満載なのですが、どれも『乾いた笑い』しか出てこないようなツッコミどころばかりなので、ぶっちゃけ『微妙すぎてどう楽しんだら良いのか困惑するレベル』です。
唯一ラストの、科学者が『ガッタ線の力で(何故か)大蛇に変身する』という破天荒な展開だけは、あまりにも超展開すぎて逆の意味で面白かったかなぁ…
総評としましては、派手そうなパッケージや設定の割には『微妙すぎてどうにも盛り上がりに欠けるタイトル』というのが正直なところです。
設定にせよストーリー展開にせよかなり無茶苦茶な内容なので、ツッコミどころだけは満載なのですが、内容的にはパンチが弱くて『ネタ映画』としても今ひとつ盛り上がりに欠ける感じかなぁ…
まあ『ツッコミどころが満載なB級作品』を探しているというのであれば、需要はそれなりに満たせる作品だとは思いますので、そういう感じの奇特な趣味の方であればチェックしておいても良いんじゃ無いでしょうか…