NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ゾンビ・クエスト」(55点/モンスター)

イメージ 1

■■■「ゾンビ・クエスト」■■■
(55点/モンスター)

 ある日、しがない会社員のアジズは放蕩者の兄のせいで会社をクビになったうえに、トラブルに巻き込まれて留置所に入れられる事となってしまう。

 翌朝に留置所から解放された彼らだったが、自分たちが留置所で一晩すごすうちに警察署内に誰も人が居なくなっており、前日の夜にロシアの人工衛星アムステルダムの街に落下した影響で、『街中がゾンビで溢れかえる』という異常事態が発生している事を知る。

 そんな矢先、ガールフレンドのテスがゾンビの群れによって会社の屋上に追い詰められている事を知った彼は、一緒に捕らえられていた兄や仲間たちと一緒に彼女を救うためにゾンビだらけの街を会社まで向かおうとするが…



 お調子者の若者たちが恋人を救うためにグダグダしながらゾンビと戦うという、オランダ製のモンスターホラー映画。

 いわゆる、最近流行りの『コメディタッチのゾンビ映画』のオランダ版ですね。

 と言ってみたものの自分も『オランダ映画の特徴』ってのが良く分からない訳ですが、いわゆる欧州映画らしく『ちょっとブラックな印象の強いコメディ』といった感じでしょうか?

 このところコメディタッチのゾンビ映画は比較的に『当たりの作品』が多かったのですが、本作は正直に言ってしまうと並というか『普通レベル』の作品ですね。

 なんと言いますか、特撮やら演出やらゾンビ映画』としての部分は割と頑張っているのですが『コメディ』の要素が全体的にイマイチな印象。

 特撮や派手さのレベルはそこそこですし『ゴア表現』もそれなりにアリ。
 ロケーションもいかにもB級な閉塞感のある感じじゃなくて、街中を割と縦横無尽に走り回ってくれるので、スケール感もあって低予算さをあまり感じさせない作りなのは良い感じです。
 (まあCGとかに一部で不自然な部分もあったりして、流石にハリウッド級とは行きませんけど…)

 単純にソンビ映画として観ると割と及第点な内容だと思うのですが、コメディの割には全体的にテンポがあまり宜しくないのが困りもの。

 やはり本作のような『コメディ要素のある映画』はテンポ良くサクサクと観させて欲しい訳ですが、全体的にダラダラとしたシーンが多くてストーリーもグテグテ気味。

 またテンポだけじゃなくてキャラの立て方に関しても、主人公が『捕らわれの彼女』を好きな理由が良く分からないので、行動にあまり主体性のようなものが感じられずに、単純に『まわりに振り回されているだけ』みたいな感じで展開がどうにも盛り上がりに欠けるんですよね。

 一応、要所要所で見せ場っぽいシーンはそれなりに入っているのですが、ストーリーが盛り上がらない&テンポが悪いせいもあって、どうにもイキオイが持続しません。

 あとゾンビも妙に覇気が無い(まあ大概のゾンビは覇気がありませんが)感じであまり積極的に襲ってこないので、全体的に緊張感が薄すぎるのも難点かなぁ…

 また細かい部分ですが、主人公たちが使う武器が何故か矢鱈と『鈍器』ばかりでゾンビをなかなか殲滅できずに、妙に時間をかけてボコボコと殴るだけのシーンが多いのもちょっと爽快さを欠いている原因かも?
 (1匹のゾンビをひたすらボコボコと殴るようなシーンが多いのは、監督の趣味なんだろうか?)

 コメディの要素に関しても全体的にいま一歩で、ブラックな演出は『単にブラックなだけ』でニヤリと出来る要素が薄く、コミック風の演出とか格闘ゲームのパロディとか、色々と工夫して詰め込んでいるのは分かるのですが、全体的に『コメディ要素が空回りしている印象』が否めないんですよねぇ。

 主人公たちのキャラクターに魅力があまり感じられないのもコメディとして滑っている原因だと思うので、ぶっちゃけコレならコメディ要素は無しで『普通のゾンビ映画』にした方が出来が良かったんじゃないかと…

 ちなみにどうでも良い事ですが、本作は邦題に「ゾンビ・クエスト」とか付いてる割には、別にRPG的な要素とかは全く無かった(むしろ格闘ゲームっぽい要素があった)訳ですが、いったい何をもって『クエスト』なんてタイトルを付けたんでしょうか?
 (このタイトルで話題性がアップして収益が増えるとも思えないですし…)


 総評としましては、良くも悪くも『普通レベルのコメディタッチのゾンビ映画といった感じの作品ですね。

 ぶっちゃけ、コメディとして観るとパンチが弱いけどゾンビ映画として観ると普通に観れるレベルなので、コメディ部分に期待している場合はちょっと肩透かしかもしれません。

 ただまあ期待してた部分とは少し違うものの、単純にゾンビものとして観るならばそれなりの完成度ではありますので、普通にゾンビ映画が好きな人であればチェックしておいても良いかも?って感じの一本ではあると思いますよ。