■■■「エスカレーション」■■■
(35点/サスペンス)
ビデオ撮影が趣味のコナー、ジョーダン、チャンクらの3人組は、以前から自分たちを苛めてきた不良のダクスたちの悪行をビデオで撮影して動画サイトにアップするという復讐を計画する。
しかし計画はアッサリと失敗。
返り討ちにされてしまったコナーは更なる復讐に燃えるが、嫌がらせをするために訪れたダスクの家で偶然にも彼の隠された『秘密』の撮影し、ビデオを取り返しに来ようとしたところを逆に監禁する事に成功する。
彼らは監禁した『苛めっ子』に対して、今までの積年の恨みを晴らそうとするが…
苛めっ子に復讐しようとしたオタクの青年が、イタズラから発生した『事故』から思いがけない事態へと陥って行くという、サスペンススリラー映画。
ビデオ撮影が趣味のオタク青年が主人公で、苛めっ子への復讐を撮影した主観視点によるPOV形式のシチュエーションスリラー映画って感じのお話ですね。
『苛められっ子が苛めっ子に復讐する』という感じの設定なのですが、何と言いますか…どうにも『観ていてストレスの溜まる映画』という印象です。
この設定だと『苛められっ子』が復讐する事によるカタルシスがあったり、その過程で陥って行く『狂気』のようなものが描かれるのかと思いきや、ちょっと予想していたのとテイストが違う感じ…
まず何がイラつくかって、主人公の『苛められっ子』が物凄くウザくてイラっとする性格だと言う事。
単に理不尽にイジめられているのかと思いきや、苛めっ子に復讐しようと鬱陶しいちょっかいを何度も出すという物凄く『粘着質な性格』で、その復讐にも特に立派な正義がある訳でもなく、あまりのアホさ加減に友達からも呆れられたりと同情の余地が全くありません。
過去にどんな『苛め』を受けてきたのかも殆ど語られずに、一方的に苛めっ子を嫌っている姿を見せられるだけなので、感情移入できるような要素が全く無いのが困りもの。
だからといって、監禁された苛めっ子の方に同情できるような構成かと言われるとそうでもなく、正直いって割と序盤から『こいつらがどんなトラブルに巻き込まれて、どういう結末を迎えようともどうでも良いわ…』という気分になってしまうので、中盤辺りからの展開が観ていてちょっと苦痛な感じになってしまうのが辛いところ。
ただ脚本の方は割と捻った作りになっており、中盤あたりから『予想外の展開』に突入したりと一筋縄で行かない構成なのはなかなか面白いです。
ただその『予想外の展開』が、登場人物たちに更に『ムカつく連中』という印象を与えてしまうだけのものになっているのが更に困りものなんだよなぁ。
ラストも『何じゃコリャ?』って感じでスッキリしない終わり方ですし…
やっぱりこの手のサスペンス映画…特にPOV形式の作品では作品の構成やシナリオの捻り具合も必要ながらも、それ以上に『主人公に感情移入できる事』も重要な要素なんだなぁ…と改めて感じさせられる映画でしたよ。
総評としましては、単純にシナリオだけ見ると『意外と凝ってて面白い作品』なのですが、それ以上に観ていて『胸くその悪い気分になる映画』でした。
お話自体はそこまで酷くは無いのですが、サスペンス映画にカタルシス的なものを求めている場合は、とにかくイラっとさせられっ放しで納得の行かない作品だと思います。
特にオススメはしませんが、意外性のある展開とかの見るべき部分もあるので、この手の作品が好きな人で気になるならばチェックしておいても良いって程度の一本では無いでしょうか?